「天使と悪魔」の謎・ネタバレ(3/3)

広告




※この記事では、角川文庫版の下巻のみについて記述しています。
 上巻についての記事はこちら。
 中巻についての記事はこちら。

 

調べたくなる言葉

◆カラーラ大理石

 カラーラはイタリア・トスカーナ州(州都はフィレンツェ)の都市名。
大理石の産地、特に最上級の白大理石、カラーラ・ビアンコで知られる。
(ミケランジェロのダビデ像にも使われている)
作中では、サンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会でハサシンに襲われた際、
ラングドンが結果的に閉じ込められた石棺の材質がこの大理石だった。

 

◆シプリペディウム

 ラン科植物に含まれる属名で、日本ではアツモリソウ属と呼ばれる。
多くは温帯地域に生育する。
作中では、幼き日のラングドンがこの花を取ろうとした際に、
忘れ去られた井戸に落ちてしまったエピソードが紹介されている。


「アツモリソウ属」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2018年1月5日 14:49 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

◆善きサマリア人

 新約聖書のルカによる福音書の中で、イエス・キリストが隣人愛について語った
たとえ話に登場する人物。
 行き倒れになった人を最初に通りがかった二人(祭司、レビ人)は助けなかったのに
対し、三番目に通りがかったサマリア人が助けたという話。
作中では、セルンからやってくるマクシミリアン・コーラーのことを、
ガンサー・グリックが報道の中でそのように呼んだ。

 

◆奇術師フーディーニ

 「悪の教典」の記事参照。
作中では、ハサシンに縛られた縄から自ら脱出したヴィットリアが
「奇術師フーディーニにはヨーガの心得があったのよ」の語る。

 

ストーリー上の謎、ネタバレ

◆「図表」に隠された「セーニョ」(記号=サイン)とは?

 5ページの4つの余白に「純粋な言語(リングア・プーラ)」=英語で記された
ジョン・ミルトンの以下の四行連詩がセーニョ。
 英語が純粋な言語とされるのは、17世紀にはまだ英語はヴァチカンが採用していない
言語の一つであり、ヴァチカンからは自由思想家の穢れた言語と考えられていたため。
また、この詩の形式、弱強五歩格は、簡素であることから
「純粋な詩行(ピュア・ヴァース)」「純粋な歩格(ピュア・メター)」と呼ばれる。
こちらの意味でも純粋な言語を表している。
 この詩が、イルミナティへの参入志願者が辿るべき4つの「科学の祭壇」及び、
「啓示の教会」への道しるべとなっていた。

悪魔の穴開くサンティの土の墓より
ローマに縦横に現わる神秘の元素
光の道が敷かれ、聖なる試練あり
気高き探求に天使の導きあらん

 

◆ミルトンの詩の意味と、対応する「科学の祭壇」及び「啓示の教会」とは?

■「悪魔の穴開くサンティの土の墓より」が示す「科学の祭壇」とは?

 サンタ・マリア・デル・ポポロ教会内の、キージ礼拝堂。
「キージ礼拝堂」は、「カペッラ・デッラ・テッラ=土の礼拝堂」とかつて
呼ばれており、ラファエロ・サンティが設計し、「悪魔の穴」という
頂上に開口部がある。さらに、礼拝堂の名前になっているキージ氏は、
芸術と科学の裕福なパトロンであり、尚且つ、ピラミッドが置かれていた。
ピラミッド他礼拝堂に置かれていた芸術作品は、ヴァチカンに愛されたベルニーニ
によるものであり、イルミナティが「無名の巨匠」と呼んでいた芸術家が
彼であることもここで明らかになった。
この礼拝堂の地下で、一人目のエイブナー枢機卿が口に泥を詰め込まれて窒息死し、
「Earth」の焼き印を押されていた。

lang=it


「Basilica di Santa Maria del Popolo」『Wikipedia, the free encyclopedia』
 21 mar 2019 alle 23:14(UTC)  URL : https://it.wikipedia.org
(上がサンタ・マリア・デル・ポポロ教会、下がキージ礼拝堂)

 キージ礼拝堂の右側に見える彫刻が、次の「科学の祭壇」を指し示していた、
「ハバククと天使」。(ハバククは大地の滅亡を預言)
ミルトンの詩の「気高き探求に天使の導きあらん」の文言に従って、
天使が指し示す方向が次の「科学の祭壇」。

 

■「ハバククと天使」が指し示す第2の「科学の祭壇」とは?

 サン・ピエトロ広場にある、「ウエスト・ポネンテ(西の風)」と呼ばれる
浅浮き彫り。ベルニーニの手による。これが第2の「科学の祭壇」。
 描かれているのは「西風の神(ゼピュロス)」であり、口から吹き出された
強い息は西風(ゼファー)である。楕円形であること、息が5つに分かれている
ことなどがイルミナティ的であるとラングドンは述べている。
サン・ピエトロ広場で、二人目のラマセ枢機卿が両肺を刺されて死亡し、
「Air」の刻印を押されていた。

■「ウエスト・ポネンテ」が指し示す第2の「科学の祭壇」とは?

 サンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会、そしてそこに設置されている
ベルニーニの「聖女テレサの法悦」が第3の「科学の祭壇」。
この教会で、三人目のギデラ枢機卿が火あぶりにされ、「Fire」の焼き印を押された。
また、同じくハサシンの手で、スイス衛兵のオリヴェッティ隊長が殺され、
ヴィットリアは誘拐され、ラングドンは石棺の下へ逃れたものの危うく殺されかけた。


「サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2018年10月20日 3:19 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org
(上が教会外観。下が聖女テレサの法悦)

 天使が持つ槍が指し示す方向が、次の「科学の祭壇」。

 

■「聖女テレサの法悦」が指し示す第3の「科学の祭壇」とは?

  ナヴォーナ広場に置かれているベルニーニの噴水「四大河の噴水」が
第4の「科学の祭壇」。旧世界の四つの大河であるナイル川、ガンジス川、
ドナウ川、ラプラタ川を賛美する作品。
ナヴォーナ広場は、ローマ帝国時代にドミティアヌス帝が造らせた競技場の
跡地が利用されている。
 この噴水で、四人目のバッジア枢機卿がハサシンによって溺死させられ、
「Water」の焼き印を押された。また、ラングドンも同じ目に合うところだったが、
起点を効かせて助かった。


「ナヴォーナ広場」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2019年2月23日 22:35 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org
(上がナヴォーナ広場全体。下が四大河の噴水)

 この噴水の上に聳え立つ、オベリスクのその上に、銅製のシロハトが向いている
方向にあるものがイルミナティの隠された「啓示の教会」。
(一羽のシロハトは、異教では天使の象徴である、とされている)

 

■「四大河の噴水」が指し示す啓示の教会の場所とは?

 ローマを守るための要塞、サンタンジェロ城の内部に、イルミナティの
啓示の教会が隠されていた。そして、サンタンジェロ城は秘密の通路で、
サン・ピエトロ大聖堂と繋がっているとされ、本作でもその道を通じて、
ハサシンは4人の枢機卿を拉致し、反物質を持ち込んだ。


「サンタンジェロ城」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2018年11月7日 23:15 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

■まとめ


①サンタ・マリア・デル・ポポロ教会
②サン・ピエトロ広場
③サンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会
④ナヴォーナ広場
⑤サンタンジェロ城

ミルトンの詩の3行目、「ローマに縦横に現わる神秘の元素」とは、
四つの元素を辿ると、「クロス・ローム(ローマを縦横に)」、
つまり、十字架が地図上に現れる。

 

◆イルミナティの正体とは?

 現実のイルミナティは、1776年にバイエルン選帝侯領のインゴルシュタットで
大学教授アダム・ヴァイスハウプトとその学生により結成された秘密結社だが、
1785年に当局の迫害を受けて解散している。
つまり、1564年生まれ、1642年死去のガリレオ・ガリレイが所属できたはずはないため、
作中のイルミナティは実在のイルミナティとは似て非なる存在。
作中のイルミナティは、大々的に復活したように見せかけられているが、
実際は、カメルレンゴが教皇の秘密の保管庫で見つけた焼き印を使って
そう見せかけただけである。
 また、自ら教皇を殺し、イルミナティは教皇庁内部にまで侵入している
とハサシンに信じ込ませることで、意のままに使役した。

 

上巻についての記事はこちら。
中巻についての記事はこちら。

広告




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です