※この記事では、角川文庫版の中巻のみについて記述しています。
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調べたくなる言葉
◆茨の冠、罪標
どちらも作中で、ラングドンが聖杯や磔の十字架と同じ聖遺物の一つとして紹介。
茨の冠は、キリストが十字架にかけられる際に頭に被せられたもので、
罪標は、十字架の上部に取り付けられた、キリストの罪状を書いた板のこと。
◆ローラン・ギャロス
ブーローニュの森の中にあるテニスコートで、毎年初夏に行われる
テニスのグランドスラム大会の一つ、全仏オープンの会場として知られる。
名前の由来は第一次世界大戦時のエース・パイロットで、
世界で初めて地中海横断に成功した飛行家から。
作中では、「チューリッヒ保管銀行」があるアクソー通りが、
この競技場の近くであると紹介されている。
◆ダ・ヴィンチの名作「東方三博士の礼拝」
レオナルド・ダ・ヴィンチがフィレンツェに居た1481年に、
サン・ドナート・スコペート修道院からの依頼で書き始めた絵画だが、
ダ・ヴィンチがミラノ公国へ移動したため未完成。
作中では、ダ・ヴィンチにまつわる陰謀の一つとして、この作品の絵具の下に、
邪悪な秘密が隠されていることが発見されたと紹介されている。
「レオナルド・ダ・ヴィンチ」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2019年2月25日 3:01 (UTC) URL : https://ja.wikipedia.org
◆エルトン・ジョン
サー・エルトン・ハーキュリーズ・ジョンは、1947年イギリス生まれの
ミュージシャン。2019年までにシングルとアルバムで計3億枚を売り上げており、
グラミー賞も5度受賞している世界で最も成功した男性ソロミュージシャンの一人。
代表作は、「キャンドル・イン・ザ・ウィンド」「クロコダイル・ロック」など。
彼は、1998年に「ナイト」に叙勲されているが、作中では、同じくナイトの爵位を
持つとされたリー・ティービングが、「爵位を持つ人間に見えないことにかけては、
サー・エルトン・ジョンに負けなかった」とラングドンが語る。
◆コンスタンティヌス帝
306年から337年にかけてローマ帝国 皇帝の地位にあった人物。
二人の正帝と二人の副帝によって4分割統治されていた帝国を再度統一したため、
大帝と呼ばれる。また、ローマ帝国皇帝として初めてのキリスト教徒として知られ、
作中にあるように、キリスト教内での教義の対立を解消するために、
325年にニケーア公会議を主催した。ニケーア公会議では、イエス・キリストを
人の子であるとするアリウス派と、イエス・キリストは神であり、聖霊とも一体
である(=三位一体説)とするアタナシウス派が対立し、アリウス派は
異端として退けられた。
◆死海文書、コプト語文書
どちらも、コンスタンティヌスが抹殺しようとした、
人間としてのキリストが描かれている福音書として作中でティービングによって
紹介されている。
死海文書は、1947年以降に死海の北西にある遺跡、ヒルベト・クムラン周辺
で発見された文書の総称で、最古のヘブライ語で書かれた旧約聖書の写本や、
ユダヤ教で正典として認められなかったため偽典とされている
エノク書、トビト記などが含まれている。
コプト語文書は、1945年にエジプトのナグ・ハマディ村付近で、農地から
発見された初期キリスト教文書のこと。コプト語はエジプトで話されていた
言葉だが、現在ではほとんど使われていない。キリストの語録が多く記述されている
「トマスによる福音書」(新約聖書の外典=正典としては認められていない)が
特に重要な文書である。
◆最後の晩餐
レオナルド・ダ・ヴィンチが1495年から98年にかけて、ミラノの
サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の食堂壁画として描かれた作品。
ヨハネによる福音書13章21節に記述されている、キリストが12人の弟子の誰かが
裏切ると予言した場面が描かれている。
作中では、ワインを脚のついた杯で回し飲みしているのではなく、一人一人が
ガラス製ワイングラスを使っていること、イエスから見てすぐ右側の人物が、
女性であることが紹介されている。
「最後の晩餐(レオナルド)」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2019年2月16日 13:52 (UTC) URL : https://ja.wikipedia.org
◆マグダラのマリア
新約聖書に登場する女性。カトリックにおいては「罪深い女」であるとされるが、
カトリック、正教どちらにおいても聖人としてあがめられている。
聖書においては、彼女はイエスの復活に立ち会い、使徒たちにそれを
伝える役割を担ったため、正教会においては「亜使徒」の称号で呼ばれている。
作中では、彼女はイエスの妻であり、さらに彼女こそが「聖杯」であると、
ティービングが主張する。
◆アメリカ映画「最後の誘惑」
1988年公開のアメリカ映画で、監督はマーティン・スコセッシ。原作は、
ニコス・カザンザキスの小説「キリストの最後のこころみ」。
イエス・キリストが悩める人間として描かれており、特に作中に述べられているように
マグダラのマリアとのセックスが描かれていることで物議を醸した。
◆メロヴィング朝
481年、クロヴィスにより建国されたフランク王国の最初の王朝名。
作中で紹介されているようにパリを築いた王朝であるほかに、
正統派のアタナシウス派のキリスト教を受け入れたことで知られる。
(それまで、彼らゲルマン人の間では、アリウス派が広く信仰されていた)
クロヴィス後は彼の子供たちに4分割されたり、再び統一されたりしたが、
徐々に宮宰(行政や財政を取り仕切る役職)に実験が移っていき、
イスラムのウマイヤ朝を破った宮宰カール・マルテルの息子ピピン3世により、
メロヴィング朝は滅ぼされ、カロリング朝の時代へと移っていく。
作中では、キリストの血脈はメロヴィング王家へと受け継がれたと説明されている。
◆ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの「改悛するマグダラのマリア」
ジョルジュ・ド・ラ・トゥールは、1593年フランス生まれの画家で、
ルイ13世の「国王付画家」であったが、その後忘れさられ、20世紀になってから
再発見した画家である。キアロスクーロ(明暗のコントラスト)を
用いた作品で知られる。さくちゅうでは、ディズニーの作品の中には、聖杯の物語が
隠されていると語るラングドンが、その一例として、「リトル・マーメイド」において、
アリエルが海中の洞窟に隠していた絵がこの絵で驚いたと語る。
「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』より、
「悔い改めるマグダラのマリア」(同名の作品が複数あるがナショナル・ギャラリー収蔵版)
2018年6月16日 17:00 (UTC) URL : https://ja.wikipedia.org
◆映画「アイズ・ワイド・シャット」
1999年のアメリカ映画で、監督はスタンリー・キューブリック。
アルトゥル・シュニッツラーの1926年の小説「夢小説」が原作。
トム・クルーズとニコール・キッドマンというスターの共演(当時は夫婦であった)、
公開直前にスタンリー・キューブリックが急死し、遺作となったことなどで
注目を集めた。この作品で、主人公の内科医、ウィリアム・ハーフォードは、
仮面とパスワードが必要な秘密のパーティーに潜入することになり、
そこでは多数の男女が性交する異様な場面を目撃するが、これを作中で、
ラングドンは「聖婚の儀式」(細部に誤りがいくつもあるが)であるとしている。
以下、下巻へ続く。
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