「涼宮ハルヒの分裂」の謎・ネタバレ

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本作は「涼宮ハルヒ」シリーズの第9作目。
キョンとハルヒが高校2年生4月の出来事が描かれている。

 

調べたくなる言葉

◆哲学者と画家と音楽家が環になっているというようなタイトルのその本

 作中で長門が読んでいた分厚い本。1979年にアメリカの科学者、
ダグラス・ホフスタッターが発表した一般向けの科学書である
「ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環」を指すと思われる。
ゲーデルは哲学者(論理学者)のクルト・ゲーデル、エッシャーは画家の
マウリッツ・エッシャー、バッハは音楽家のヨハン・セバスティアン・バッハ
のことを指し、彼らの生涯や作品の共通性を分析することで数学・対称性・知能に
ついての基本概念を詳しく説明している。1980年のピュリッツァー賞の
一般ノンフィクション部門など受賞している。

 

◆まるでエジプトを脱出するモーゼのように

 文芸部の新歓ブースへと向かう生徒会長がモーゼのように、
生徒たちをかき分けることなくやってきたという描写がある。
 モーゼは旧約聖書の出エジプト記などに登場する預言者。神から奴隷状態の
ヘブライ人をエジプトから脱出させるよう命令を受け、実行する際、一行は
追い掛けるファラオの軍勢に葦の海に追い詰められたが、モーゼが水を
割ったことで海を渡ることができ、窮地を脱したというエピソードがある。

 

◆CIAかNORAD

 CIAはCentral Intelligence Agencyの略、日本語では中央情報局と訳される
アメリカの情報機関で、NORADはNorth American Aerospace Defense Command
の略、日本語では北アメリカ航空宇宙防衛局と訳されるアメリカとカナダが共同で
運営している防衛組織で、北米の航空、宇宙に関して観測や危険の早期発見
を目的に設置されている。作中では、長門に聞かれて困るような話なんてこの2組織の
上層部しか知らない情報ぐらいだとキョンが語る。

 

◆春眠が暁を覚えないせいで

 このせいでキョンはいつもよりアホ面だとハルヒにけなされる。
中国唐代の代表的な詩人、孟浩然の五言絶句、春眠から。
元々は、「春眠暁を覚えず 處處啼鳥を聞く 夜來風雨の聲 花落つること知る多少」
つまり、春は気持ちが良いので朝になったのも気が付かなかった 
あちこちから鳥の鳴き声が聞こえる 昨夜は風雨が強かった どのくらい花が
落ちただろうかという内容の詩。

 

◆春宵一刻値千金

 中国北宋時代の政治家にして詩人、書家、画家である蘇軾の詩「春夜」の一節。
春の夜には千金の価値があるという意味。詩全体は、「春宵一刻値千金 花に清香有り
月に陰有り 歌管楼台声細細 鞦韆院落夜沈沈」となる。意味は、
春の夜には千金の価値がある。花は清らかな香りを放ち、月はおぼろにかすんでいる。
高殿で歌ったり楽器を奏でていた人々もすっかり静かとなり、中庭にはブランコが
一つ置き捨てられており、夜はしんしんと更けていくというような意味。

 

◆聖パウロ的、またはコペルニクス的転回

 聖パウロは初期キリスト教の使徒。当初はユダヤ教徒としてキリストの信徒を
迫害していたが、なぜ自分を迫害するのかという天からのキリストの声を聴いた直後、
目が見えなくなったが、アナニアというキリスト教徒の祈りによって見えるようになった
という経験ののち、キリスト教徒なった。このことを「サウロの回心」
(サウロはパウロのヘブライ語名)という。
 コペルニクスはポーランド出身で15,16世紀に生きた天文学者。
彼は従来、一般的に信じられていた天動説を
否定し、地動説を唱えたが、
このように物事の見方が180度変わることを
コペルニクス的転回という。
(この用語自体は18世紀ドイツの哲学者カントが自著「純粋理性批判」の中で、
使用したもの)

 

◆デルフォイの巫女

 自身に対して羨望と達観を感じると古泉から告げられたキョンは、
お世辞を言ってもデルフォイの巫女みたいに神託を告げたりはしないぞと
返すシーンが登場する。デルフォイは、古代ギリシャ世界における聖域。
この地にあったアポロンを祭る神殿は全ギリシャから崇敬され、
神がかりになった巫女によって下される神託は全ギリシャで尊重された。

 

◆デザートローズの原石

 SOS団の一行がフリーマーケットで買いこんだガラクタの一つとして紹介されている。
デザートローズは、硫酸カルシウムや硫酸バリウムが自然現象で、バラのような形状の
結晶に成長した石を指す。サハラ砂漠やメキシコ、オーストラリアの砂漠地帯で産出する。


「砂漠のバラ」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2019年12月3日 8:40(UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

 

◆宇宙人によるアダプテーション経験者

 ハルヒ的にSOS団に情報を持ち寄ってもらいたい人材の一つとして
キョンは考えた。アダプテーションとは適応、順応、調整などを意味する英語。
宇宙人によるアダプテーションとは、UFOなど捕らえられ、そこで宇宙人によって
人体になんらかの調整、改造を加えられることを指す。

 

◆古田織部

 キョンは朝比奈みくるのお茶くみスキルは、「今や現代に蘇った古田織部並み」
と語る。古田織部正重然(しげなり)は、戦国から江戸時代初期にかけて活躍した
武将、茶人。千利休の高弟として茶の湯を大成し、茶器や作庭などの分野で
「織部好み」と評される一大流行をもたらした。彼の生涯については、
山田芳裕の漫画「へうげもの」で詳しく語られている。

 

◆顔真卿

 作中で、ゴールデンウィークに開催される鶴屋家の花見大会の
招待状が顔真卿が書いたような毛筆で記されていたとキョンは語る。
顔真卿は、中国唐代の政治家、書家で、楷書の四大家として知られる。

「顔真卿」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』より『顔勤礼碑』(部分)顔真卿撰・書
2020年4月8日 1:06(UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

◆百人秀歌

 作中で鶴屋とハルヒの百人一首のやり取りの中で、鶴屋が
「やまざくら 咲き染めしより ひさかたの」という源俊頼の歌の上の句を
挙げたところ、ハルヒは分からず、長門が答える場面が登場する。
ハルヒが分からなかった理由は、百人一首と同じ藤原定家による選集だが、
微妙に選ばれている歌が異なる百人秀歌に掲載の歌だったため。
 この百人一首と百人秀歌の違いなどが、物語のキーになっているミステリーに
高田崇文の「QED 百人一首の呪」がある。このブログでも記事を作成しているので
歴史好きの方は是非。 「QED 百人一首の呪」の記事

 

◆マリーセレスト号

 橘京子の閉鎖空間に入ったキョンは、周りに誰もいなくなっているを見たとき、
マリーセレスト号のように、と表現した。マリーセレスト号は、1871年に、
まだ航行できる状態にも関わらず、乗員が誰もいなくなっているのが発見された
船の名前。 「天使の囀り」の記事にもトピックがあるため、参照ください。

 

◆エラリー・クイーンの国名シリーズ

 キョンの中学時代でこのシリーズを全部読んでいるのは知る限り佐々木だけだった
語る。エラリー・クイーンは、アメリカの推理作家。(フレデリック・ダネイと
マンフレッド・ベニントン・リーの共同筆名)
 国名シリーズは、1929年発表の「ローマ帽子の謎」を皮切りとする、
国名がタイトルに付加されている推理小説シリーズ。2作目以降、
「フランス白粉の謎」「オランダ靴の謎」「ギリシア棺の謎」「エジプト十字架の謎」
「アメリカ銃の謎」「シャム双生児の謎」「チャイナ橙の謎」「スペイン岬の謎」
「ニッポン樫鳥の謎」と続く。

 

ストーリー上の謎、ネタバレ

◆この巻で起こったことの整理

 この巻は次の「驚愕」に向けての序章的位置付けの作品であり、
提起された謎は謎のままである。従ってここでは、この巻での出来事の整理
をするにとどめて置くこととする。

 キョン、ハルヒらが高校2年生へと進級した4月のある土曜日。この日を境に
世界は二つに分裂する。(最もキョンの独白からは世界の分裂はさらに以前から
だったことが示唆されている)
 作中ではαとβで区別される2つの世界では以下の出来事が発生した。

1.αの世界
 ・土曜日の夜、キョンのところに電話を掛けてきたのは「わたぁし」を名乗る謎の女性

 ・日曜日。キョンは何もしない。ひたすらダラダラして過ごす
 ・月曜日。キョンは長門から天蓋領域の話を聞き、ハルヒから数学を教わり、
  そして、放課後には約10名の入団希望者の登場に驚かされる

2.βの世界
 ・土曜日の夜、キョンのところに電話を掛けてきたのは佐々木
 ・日曜日、キョンは佐々木に呼び出されて佐々木を中心とするSOS団的集団と会う
 ・いつもの喫茶店で、キョンは古泉ポジションの橘に、ハルヒ的ポジションは
  佐々木が妥当と説得を受け、佐々木的閉鎖空間に連れていかれる
 ・月曜日。放課後、部活では、入団試験の開催がハルヒから発表され、その後、
  長門の不在が団員間で話題となり、ハルヒの電話により長門の体調不良という
  何かしらの異常事態が起きていることが明確な事実が判明する

 

<次回作>

 

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