「涼宮ハルヒの驚愕(後)」の謎・ネタバレ

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本作は「涼宮ハルヒ」シリーズの第11作目。
前作に引き続き、キョンとハルヒが高校2年生4月の出来事が描かれている。

 

調べたくなる言葉

◆カノッサ城において神聖ローマ帝国ハインリヒ四世と面会した教皇グレゴリウス七世のような威厳たっぷりな満足笑顔と口調

 新入団員、渡橋ヤスミを紹介するときのハルヒの顔がこのようであったとキョンは語る。
この出来事は1077年に発生したカノッサの屈辱として知られる歴史上の事件を指す。
かねてより高位聖職者の任命権(聖職叙任権)を巡って皇帝ハインリヒ四世は
教皇グレゴリウス七世と争っていたが、ついに教皇は皇帝の破門を宣言する。
後の時代には無視されたり、影響が薄かったりすることもあるが、
教皇権絶頂期に差し掛かる当時では、「破門」は大きな影響力があり、
ドイツ諸侯が一斉に皇帝に対して叛旗を翻す事態となった。そこでハインリヒ四世は
教皇滞在中のイタリア・トスカーナ地方のカノッサ城の前で、1月末の雪が降る寒さの中、
3日間、裸足&断食で祈り続け、教皇の許しを願ったという事件。

 

◆ヘーゲル

 キョンは「偉大だな」と話し、古泉は「人間が社会生活を送る上で、もっとも
有益なアドバイスを残した哲学者」と称賛した。
 ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルは、1770年に当時の
プロイセン王国・ベルリン生まれの哲学者。フィヒテやシェリングらと共に、
ドイツ観念論と総称される思想家に含まれる。ドイツ観念論は、前の世代の
偉大な哲学者カントに対する反動として生まれてきた思想で、
(哲学は難しいので色んなサイトで見たことを自分なりにまとめると)
カントは対象(物自体)がそのままで客観的妥当性を持つのではなく、
主体の認識能力によってはじめて規定されるとしたが、ヘーゲルは
そうではないと主張した、と思われる。
(ヘーゲルの有名な言葉「理性的なものは現実的であり、現実的なものは理性的である」)
また、彼の哲学の特徴として、弁証法がある。弁証法とは、世界のすべてのものは
矛盾や対立を繰り返すことで、変化、発展していくという考え方。
 ここで古泉が言いたかったのは、「たとえどんな駄作でも、きっと後の糧と
なりますよ。優れた教師は反面教師、という格言もあることですし」という発言
にあるように矛盾が発展に繋がるということだろうか。(全く自信なし)

 

◆ルイボス茶

 ルイボスとは南アフリカ共和国に自生するマメ科植物の名前。
(ケープタウンの北に広がるセダルバーグ山脈というところでしか自生しない)
ルイボスティーはこの植物の針状の葉(下図参照)を乾燥させて作られる。
ヤスミのいう通り、カフェインゼロで栄養価も高い健康茶として知られ、
近年は日本でもよく売られており、うちの妻がよく飲んでいる。

Rooibos (Aspalathus linearis)PICT2813.JPG
「ルイボス」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2021年9月2日 9:04(UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

◆墨痕淋漓

 墨で表現したものが生き生きしているさま。墨の跡がみずみずしいさまという意味。
作中では、キdotョンらの湯飲みにハルヒが書いた名前についてこの表現がされているが、
ハルヒの書ならそうだろうなという表現。

 

◆アダムスキー型とシャンデリア型UFO

 SOS団ホームページについて、初期は前者、本作時点は後者のようだとキョン。
「アダムスキー型」は、代表的なUFOの形。
宇宙人と会ったと自称する人々、
「コンタクティー」の元祖として知られる、1891年現在のポーランド生まれの
UFO研究家ジョージ・アダムスキーから。彼が遭遇したというUFOの形から。
(下画像のように、円盤の上下に突起があることが特徴)

一方、調べた限り「シャンデリア型UFO」というのは無さそう。
(少なくともあまり一般的ではなさそう)
そこで、本文に戻ると、
「壁紙からフォントからインデックスから何からすべてが一新され、おまけに
文字の一部がピカピカ光りながら動いているし、画面の色使いがやたらとハデだ」
とあり、そう言われれば、アダムスキー型は室内灯のような形と言えなくもなく、
それを装飾したから「シャンデリア型」という意味ではないだろうか。

 

◆どっかの衛星かギリシャ神話のキャラみたいな名前の本

 長門がヤスミに貸したという本のタイトルをうろ覚えのハルヒが説明した発言から。
長門の趣味は分厚いSF好みであること&キョンの反応
(ドライアイスを飲み込んだような
冷たい焦りが俺の喉を通り抜ける)から、
本のタイトルは、「ハイペリオン」(ダン・シモンズ)と思われる。
「憂鬱」において、キョンはこの本を長門から貸され、挟んであったメモで

呼び出され、長門の招待について聞かされた。
(ハイペリオンは土星の第7衛生であり、ヒュペリオンとギリシャ語読みすると
ギリシャ神話の神の名となる)

 

◆log記号なしでフォアフォーズの素数を永久に解き続けよと明示された数学助手

  フォアフォーズとはfor fours、つまり4つの4を意味し、4つの4と数学記号
を用いて様々な数を作ることを目指すパズル。肝心な「フォアフォーズの素数を~」
というキョンの独白の意味は正直分からないが(ブログ主の数学力的に)、
wikipediaさんによると、logを用いてよい場合、4つの4で全ての有理数が
表現できるということなので、そういうことかもしれない。

 

◆エドワード黒太子が率いるロングボウ隊

 エドワード黒太子は1330年生まれ、イギリス・プランタジネット朝の
エドワード3世の長子。百年戦争で活躍し、特に1356年のポワティエの戦いでは、
フランス王ジャン2世を捕虜にし、イングランドの勝利に貢献した。
 黒太子の名は、常に黒い鎧を身にまとっていたからという説や、
フランス側の住民、捕虜などに残虐に接したからなど諸説ある。
 エドワード黒太子(あるいはUK軍)は前述のポワティエの戦いや、それに先立つ
1346年のクレーシーの戦いでロングボウ隊をうまく活用し勝利を収めた。

 

◆ピーピングトム

 「覗き趣味のある男」という意味を持つ英俗語。
11世紀のイングランドに、夫である領主の圧政を諫めるため、裸で馬に乗って行進した
というゴダイヴァ夫人(ベルギーのチョコメーカ「ゴディバ」の由来)の伝説がある。
街の人たちは恩義を感じて野次馬を控えたが、ただ一人これを盗み見た人物がおり、
彼の名がトムであったことから、覗き見する男=ピーピングトムの俗語で出来上がった。

 

◆まるでトリフィドを見るような目で

 ヤスミが部室へ持ってきた花を、古泉はトリフィドを見るような目で観察したと
記述がある。トリフィドとは、イギリスのSF作家、ジョン・ウィンダムによって
生み出された歩行する肉食植物。三本の根っこを持ち上げて歩行し、猛毒の毛を
刺すことで動物を殺してその肉を栄養とする。
 このトリフィドが登場する作品が1951年の「トリフィドの時代」。

 

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