※この記事では、角川文庫版の下巻のみについて記述しています。
調べたくなる言葉
◆エル・エスコリアル
王立サン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアル修道院は、スペイン・マドリード
郊外にある宮殿、修道院、博物館に図書館などを兼ねる複合施設。
1584年に時の国王フェリペ2世の命で建造された。1984年に世界遺産に登録。
作中では、カーシュの暗殺の直後、バルデスピーノ司教が国王を
この施設に連れていき、その後、王子も連れて行った。
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「エル・エスコリアル修道院」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2019年1月1日 0:04 (UTC) URL : https://ja.wikipedia.org
◆セルバンテスの「ドン・キホーテ」
ミゲル・デ・セルバンテスは、1547年スペイン生まれの作家。
下級貴族の家に生まれ、アルマダの海戦で負傷したり、投獄されたりと
苦労の人生を歩む中、創作活動を行った。
1605年に発表した代表作「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」は
現代に至るまで大きな影響を持っている。騎士道物語を読み過ぎて現実と
物語の区別がつかなくなった主人公アロンソ・キハーノが、
自らを歴戦の騎士であると勘違いをし、ドン・キホーテを名乗って
痩せ馬のロシナンテ、従士のサンチョ・パンサと旅に出る。
作中では、カーシュのラボを探すラングドンがサグラダ・ファミリアから
ヘリでの移動中にセルバンテスにちなんだセルバンテス公園の近くを通過した。
◆フトボルのスタジアム
作中では、カーシュのラボへ向かうラングドンは、ヘリのパイロットに
FCバルセロナのスタジアムへ向かうよう伝えた。
FCバルセロナは、1899年に創設されたスポーツ・クラブで、
ブラウ・グラーナ(青と臙脂)をチームカラーとするスペインリーグの強豪チーム。
2019年5月26日時点で、リーグ優勝26回、リーグカップを30回、
そしてUEFAチャンピオンズリーグを5回制している。
ホームスタジアムは、1957年に開場したカンプ・ノウ(新しいスタジアム)で、
約10万人の収容が可能。
「カンプ・ノウ」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2019年4月4日 10:13 (UTC) URL : https://ja.wikipedia.org
◆ミサ曲チャールズ・ダーウィン
本作の作者、ダン・ブラウンの弟の作曲家、グレゴリー・ブラウンの2013年
の作品。作中では、カーシュのラボを訪れたラングドンとアンブラを迎えた曲。
◆兵馬俑
中国・西安にある、秦の始皇帝陵に副葬品として埋められている兵士や馬などを
かたどった俑(木や陶器で作られた人形)。作中では、カーシュのラボで、
ガラスの床下に並ぶ電子機器の棚を見たラングドンは兵馬俑を思い浮かべた。
「兵馬俑」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2018年5月9日 2:55 (UTC) URL : https://ja.wikipedia.org
◆バッハの<トッカータとフーガ ニ短調>
ヨハン・セバスチャン・バッハが作曲したオルガン曲で、作中では、
カーシュがプレゼンの中で、E-WAVEを紹介するときに出だしのトリルが流された。
◆マジカ噴水
スペイン・バルセロナのモンジュイックの丘にある噴水で、1929年の
バルセロナ万博の際に制作され、その当時から、ライトアップショーが
行われていることで知られる。作中では、カーシュのプレゼンの翌日に
モンジュイックの丘を訪れたラングドンは、ここを見に行こうとしていた。
「Magic Fountain of Montjuïc」『Wikipedia, the free encyclopedia』
3 January 2019, at 17:32 (UTC) URL : https://en.wikipedia.org
◆スタインベックの「ハツカネズミと人間」
ジョン・アーンスト・スタインベックはアメリカ・カリフォルニア州生まれの
小説家。20世紀アメリカを代表する作家の一人で、代表作の一つ、
「怒りの葡萄」でピューリッツァー賞を受賞している他、
1962年にノーベル文学賞を受賞している。代表作に、
「怒りの葡萄」、「エデンの東」、「二十日鼠と人間」など。
「二十日鼠と人間」は、1937年の作品。世界恐慌時代のカリフォルニアを舞台に、
二人の出稼ぎ労働者を主人公に、当時の労働者の労働環境が描かれている他、
作中でウィンストンが示唆し、ラングドンが衝撃を受けた場面で紹介されているように、
ラストシーンでは、二人のうちの一人が、苦しんで死ぬ運命にあることを知った
もう一人が、慈悲の念から自ら手にかける。
ストーリー上の謎、ネタバレ
◆カーシュのプレゼンを開始するためのパスワードとは
カーシュはプレゼンを開始するためのパスワードとして、
彼が大好きな詩の一行=47文字を設定していた。ヒントとして、彼はウィンストンに
「それは未来について――預言についての一行で、しかも喜ばしいことに、
すでに実現しつつあると言っていい」と話している。そのパスワードを求めて、
ラングドンとアンブラは、カーシュの生前、ラングドンにプレゼンの後、
ここへ来て欲しいと言われていた場所「BIO-EC346」へ向かう。
・BIO-EC346とは
BIOは地元のビルバオ空港を指すコードであり、EC346は、
カーシュのプライベート・ジェット機のこと。二人は、ウィンストンの助けを
得てこの機体に乗り込み、パスワードの詩を探すために、カーシュの自宅
(バルセロナのカサ・ミラ)へ向かう。
・ウィリアム・ブレイクとは
1757年、イギリス・ロンドン生まれの、ロマン主義に属する詩人、銅版画家。
作中で、ラングドンは「まさに十八、九世紀のエドモンド・カーシュだ」と語る。
「幻視者」の異名を持ち、代表作の「ミルトン」「エルサレム」といった
「預言書」と呼ばれる一連の作品群で独自の神話体系を構築した。
作中では、カーシュの自宅に、「ウィリアム・ブレイク全集」の初期の版の箱があり、
ラングドンは求める詩が彼のものだと悟る。そして、その箱には、
「ふたつ折りにされた象牙色のカード」がテープで止められていた。
そのカードは、サグラダ・ファミリアのクリプト(地下礼拝堂)に、
ウィリアム・ブレイク全集が展示されていることを示す展示カードであり、
カーシュは、163ページを開いて展示するよう指定していた。
・ウィリアム・ブレイク全集の163ページに書かれているものとは
163ページには、1794年作の有名な水彩銅版画、「日の老いたる者」が
描かれており、詩は書かれていなかった。
「ウィリアム・ブレイク」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』より「日の老いたる者」
2019年4月21日 3:58 (UTC) URL : https://ja.wikipedia.org
しかし、163ページを開くということは隣のページ、162ページを開くということであり、
162ページには、ブレイクの有名な預言詩の一つ「四人のゾアたち」の
最後のページが書かれていた。そして、その最終部分には以下のようになっていた。
The dark religious are departed & sweet science reigns.
(暗き宗教は息絶え、かぐわしき科学が治する)
このままでは46文字、&をandと読めばこんどは48文字と47文字にはならない。
しかし、&(アンパサンド記号)は、元々eとtを組み合わせた文字であるため、
&をetに置き換えれば、47文字となる。これがパスワードだった。
◆カーシュのプレゼンの要旨
カーシュは量子キューブ、E-WAVEを使って、ユーリーとミラーが行った
原始スープの実験をやり直した。結果、生命は生まれなかった。
次にカーシュは、若き物理学者・ジェレミー・イングランドの仮説、
世界はエネルギーを拡散するというただ一つの指令に従って動くという説を基に、
先ほどの実験に「エネルギーを拡散せよ」というコマンドを追加した。
そうすることで、生命が生まれた。これが「われわれはどこから来たのか」の答え。
それでは、われわれはどこへ行くのか。
カーシュは先ほどの実験をさらに進めるとどうなるのかを考えた。
カーシュはE-WAVEにトゥイーニング(進化の一部を入力し、間の進化を推測する)
の手法を用いて、今後の進化の進み方を推測させた。
結果、2000年頃に登場し、2050年には人類よりも繁栄する種がいることが
示された。その種とは、「テクノロジー」であり、正確には人類を滅ぼすのではなく、
人類と同化し、新しい種に進化するとカーシュは述べた。
◆一連の事件の犯人とは
一連の事件とはつまり、ラビ・イェフダ・ケヴェシュ、サイード・アル=ファドル
を殺し、バルデスピーノ司教を偽のメールで貶め、アビラにカーシュを
殺すよう指示をし、王宮の電話番号からアンブラに電話をかけて、
アビラの名前を出席者に登録し、さらには、monte@iglesia.orgを名乗って
ネットサイトに情報を提供し、パルマール教会に汚名を着せた。
これら全ては、ウィンストンがカーシュのプレゼンの効果を最大限に高めるために、
それこそが余命短いカーシュの望みを叶えることだと考えて行ったことだった。
つまり、ウィンストン=宰輔=monte@iglesia.org。
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