「クリムゾンの迷宮」の謎・ネタバレ

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ストーリー上の謎、ネタバレ

◆野呂田栄介の役割

 主催者側から派遣され、ゲームを望む方向に
コントロールする役目を負った、ゲームマスターと思われる。
が、明言されないまま死亡してしまったため、謎は明かされず。
(以下、野呂田の怪しい箇所)

序盤での積極的な仕切り
・野呂田のゲーム機は電源on時にパスワードを要求される
・楢本らに追われる中、野呂田は居場所が知られる危険があるのに焚火をした
 (楢本らに追跡させ、ゲームを盛り上げるためにわざとやった?)
・大友藍と野呂田との会話

(大友)「あなた、本当はいろんなこと、知ってるんじゃない?」
(野呂田)「……何のことですか?」
(大友)「とぼけないで。ゲームマスターなんでしょう?」

野呂田の最後の場面のセリフ

「おおい、聞こえるか? 君たちに、提案がある! 
悪い話じゃない! 聞いてくれ! もう、このゲームを……」

↑この場面まで、野呂田はゲームマスターであることを否定してきたが、
ここでは認めているように思われる。
ゲームマスター権限?でゲームを終わらせられる方法があるように
捉えられるがそれは謎のままとなってしまった。

◆大友藍の役割

 野呂田と同じく、主催者側からゲーム内に派遣されたと考えられる。
役割は、義眼の左目に仕込んだカメラで、ゲーム参加者の動向を近距離から撮影すること。
(岩山上からの望遠レンズでの撮影を補完する)
元々、彼女は補聴器を付けていたが、失った感覚器官は耳ではなく目だった。
(補聴器のセットはカメラと送信機への電力供給のために付けていた)

◆結局、藤木は藍に再会できたのか?

 再会できなかったと思われる。
根拠はラストシーンで引用されたゲームブックのトゥルーエンドの描写。

藤木が参加したゲームは、さらに言えば、本作自体が、
ゲームブック「火星の迷宮」になぞらえられて進行してきた。

そのゲームブックは、以下のように締められている。
「やがて、記憶は風化するだろう。言葉にならない思いが、あなたの胸を締めつける」

 

調べたくなる言葉

◆モエ・エ・シャンドンとヴーヴ・クリコ

 どちらもフランス有数のシャンパンのブランド。
1743年創業のモエ・エ・シャンドン(Moet & Chandon)は、

元々Moet家が経営するブランドだったが、
後に娘婿のピエール・ガブリエル・シャンドンの家名を合わせて
モエ・エ・シャンドンのブランド名となった。

 ヴーヴ・クリコ(Veuve Clicquot Ponsardin)は、
元々はシャンパンも含めた各種事業を行うための企業として、
1772年にフィリップ・クリコによってクリコ社として創業。
 フィリップの息子、フランソワが早くに亡くなると、
妻のバルブ・ニコル・ポンサルダンが事業を引き継いだ。
彼女は、シャンパン事業を独立させ、社名をヴーヴ・クリコ・ポンサルダンとした。
(ヴーヴはフランス語で寡婦の意)

 

◆トワイライトゾーン

 1959年にアメリカで放映されたテレビドラマを元とする造語。
トワイライトは夜明け前、日没後などの薄明かりのこと。
転じて、トワイライトゾーンは二つの領域のどちらともつかない中間帯という意味がある。
元々のドラマでの意味はwikipediaによる以下の通り。


「昼」でも「夜」でもない曖昧な時間帯である「夕暮れ時」を
「怪異が起こる時間」という意味

「トワイライトゾーン」 『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』2017年11月16日 05:43 (UTC) 
URL : https://ja.wikipedia.org

 

◆バングル・バングル

 西オーストラリア州北部キンバリー地区に位置する。
パールヌヌ国立公園内の奇岩地帯。

<参考動画>


 

◆作中で主人公二人が食べたものリスト

・グラスツリー
 学名をクサントロエアという、ススキノキ科ススキノキ属の常緑小低木。

1年に1cm程度しか成長しない、山火事で焼け焦げた幹から花を咲かせるなど、
姿形以外にも不思議な生態を持つ植物。
作中では細い葉の芯にある白い部分が食べられると紹介。

<参考画像>

(出典:「Garden Story」

・バオバブ
 アオイ目アオイ科バオバブ属の総称。マダガスカルのイメージが強いが、
バングル・バングルがあるオーストラリア・キンバリー地区にも1種自生している。
作中では、「実は、生食が可能で、シャーベットを思わせる独特の味」と紹介。

<参考画像>

Flower9 Baobab1

Flower9_Baobab_13
(出典:オーストラリア貿易投資促進庁

・ウイチェッティ・グラブ
 オオボクトウという蛾の幼虫。
作中では「表面はクリスピーで、ローストチキンそっくり」

「味は濃厚で、どこかアーモンドを思わせる美味」と紹介。
苦手な方もいると思うので、画像は省略。

・ゴアンナ
 オオトカゲのこと。ゴアナとも。
作中では、「肉は汁気たっぷりで、鶏肉より若干歯ごたえがある感じ」
と紹介されている。

<参考画像(ゴアナの一種)>
スナオオトカゲ
(出典:All about

・buchanania obovata(ワイルド・プラム)
 一般的にはカカドゥプラム、グリーンプラムとして知られる植物と思われる。
あらゆる果物の中で、最高濃度のビタミンCを含有していることで知られ、
近年ではスーパーフードとして人気。
作中では、「味は少しプルーンに似ており」と紹介されている。

<参考画像>
ANFIL Kakadu Plum2
(出典:オーストラリア貿易投資促進庁

・ロックワラビー
 ワラビーの一種。ワラビーは、フクロネズミ目カンガルー科に属する動物のうち、
カンガルーやワラルーより小型なものを指す。

・ブラック・ヘッデッド・パイソン
 ズグロパイソンとも。ニシキヘビ科の無毒なヘビ。大きさは最大で3m程度。
オーストラリアの中部から北部にかけて分布。
名前の通り、頭が黒い。

 

◆耳なし芳一

 壇ノ浦の戦いで関門海峡に沈んだ安徳天皇や、平家一門を祀る
阿弥陀寺(下関市)を舞台とする怪談。
芳一は主人公である盲目の琵琶法師の名前。
本作で、主人公たちが泥を塗って藪蠅をやり過ごしたように、
全身に般若心経を写して、怨霊から見えなくしようとしたが、
耳のみ写し忘れたため、怨霊に耳を持っていかれてしまったため、
「耳なし」と呼ばれた。
物語の詳細については、wikipedia参照。

 

◆尸解仙

 中国の道教における仙人の一種。
修行者が死後に仙人となった場合の呼び方。

(その他に、生身のまま天に昇る天仙などがある)

 

◆ヘディン

 スヴェン・ヘディンは1865年生まれのスウェーデン人探検家。
中央アジア各地を探検し、1900年、タリム盆地東部にて、

失われた古代のシルクロード都市楼蘭と、
河川の流路の変遷により、その位置を変える湖、ロプ・ノールを発見した。
著書としては、1934年にロプ・ノールを再訪した際の旅行記、
「さまよえる湖」が有名。

 

◆ハイブラウ(highbrow)

 名詞としては教養のある人、知識人。
この場合は形容詞なので、教養のある、知的な、高尚な、などの意味。

 

◆pkディック

 アメリカのSF作家、フィリップ・K・ディックのこと。
主人公たちの日常、現実が崩壊し、超現実的な世界へ入り込んでしまうという、
普段当たり前だと思っている現実がいかに脆いものかを描いた作品を多く残した。
主な作品は、「高い城の男」「ユービック」「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」など。

 

◆モンティパイソン

 1969年に結成されたイギリスのコメディグループ。
英BBCの番組「空飛ぶモンティ・パイソン」で人気を博した。
過激なブラックコメディが特徴。

 

◆クリムゾンフィンチ

 日本語ではアサヒスズメと言う。
全長は14cm程度。オーストラリア北部に分布する。
クリムゾンの名により相応しいのはオスで、
メスはやや地味な色合い。

<参考画像>

Crimson Finch 2976.jpg
「crimzon finch」『フリー百科事典ウィキペディア英語版』
2020年1月5日 00:25(UTC)  URL : https://en.wikipedia.org

 

 

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3 件のコメント

  • 「シロアリ」について質問です。アボリジニの男が助けに来たとき、どうしてこんなに飢えているんだ、と、シロアリが究極のブッシュ・タッカーであると書かれていました。
    プラティ君の説明の時に濁され、終盤で明かされるということは重要な伏線なのかと思いましたが、特に言明されてませんでした。
    蟻塚に近寄ることがペナルティになるとも書いてなかったし、藤木たちはシロアリを食べた様子がありません。でも芋虫は食べてたし、蛙も食べてた。
    なにか理由があったのでしょうか?

    • コメントありがとうございます。(返信遅くなってしまい申し訳ありません)
      ご質問の件、正直あまり気になっていませんでした。
      ご指摘の個所を再読してみましたが、確かに、意味ありげな描かれ方をしていますね。
      そこで、もう一度全体を再読してみました。

      藤木が蟻塚の中からマイクロ波の中継器を発見する場面が登場しますが、
      そういった、ゲームの主催者にとって参加者に見られては都合が悪いものを隠す場所に使っていたため、
      積極的にこれを食べるようには推奨しなかったのではないでしょうか?

      それなら、そもそもプラティ君に紹介自体をさせなければいいとも考えましたが、
      主催者側は情報ルートを選択した参加者が、自らが参加させられているゲームがどういったものなのかを
      知ってしまうというのも演出の一つと考えている節があるため、紹介自体はしたのだと考えます。
      (プラティ君は他にも、退場する場面のように藤木に、彼らが参加するゲームの性質について
       仄めかしを行っており、その一環では)

      • なるほど…!
        そうなんですよね、主催者側にとって、蟻塚は近づいてほしく無いんだろうなと思ったので、じゃあなぜわざわざ?というのが疑問で。
        プラティ君が「究極のブッシュ・タッカーだが、食べ過ぎると自分が死ぬはめになるかもな」的なほのめかしをしたのかもしれませんね。
        スッキリしました!ありがとうございます。

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