調べたくなる言葉
◆ダース・ベイダーのテーマ
アメリカのSF映画「スター・ウォーズ」シリーズに登場するキャラクター。
元々はジェダイの騎士だったが、フォースの暗黒面に引き込まれ、
ジェダイと敵対する存在であるシスの暗黒卿となる。
◆ホープフルステークス
中央競馬のレース名。本作が刊行された2004年時点では2歳限定のオープン特別。
中山競馬場の芝2000メートルで12月末に開催される。
(その後、G3で行われていたラジオたんぱ杯2歳Sを前身として、2014年からG2、
2017年からG1競走として行われている)
オープン特別時代の主な勝ち馬は、作中で紹介されている
ダービー馬・ウイニングチケット、二冠馬・エアシャカールの他、
後の秋の天皇賞馬・トーセンジョーダンなどがいる。
◆ウイニングチケット、エアシャカール
作中ではどちらも歴代のホープフルSの勝ち馬として紹介。
ウイニングチケットは、父は凱旋門賞馬トニービン、母はマルゼンスキー産駒で、
他に重賞を2勝したロイヤルタッチなどがいるパワフルレディ。
第一人者でありながら長年、日本ダービーに縁がなかった柴田政人を鞍上に
第60回日本ダービーを勝ち、その馬名からも彼にダービーを勝たせるために
産まれてきた馬と呼ばれる。
エアシャカールは、父は大種牡馬サンデーサイレンス、母は他にオークス2着など
があるエアデジャヴーなどがいるアイドリームドアドリーム。
武豊を背に、2000年の皐月賞、菊花賞を勝った二冠馬。
◆デインヒル、ティンバーカントリー
作中で、ホープフルステークスへ出走していた馬の本命馬の父がデインヒル、
対抗馬の父がティンバーカントリーだった。
デインヒルは、父Danzig、母Razyana(その父His Majesty)、1986年生まれの
アメリカ産のサラブレッドで大種牡馬。英愛欧仏でリーディングサイアーに
輝いている。日本での代表産駒はファインモーション(秋華賞、エリザベス女王杯)、
エアエミネム(札幌記念など重賞4勝)、ゼネラリスト(重賞2勝など)。
ティンバーカントリーは、父Woodman、母Fall Aspen(その父Pretense)、
1992年生まれのアメリカ産サラブレッド。現役時代にはアメリカで
3冠レースのプリークネスSなどG1を複数勝利した一流馬だった。
引退後に日本へ種牡馬として輸入された。リーディング10位が最高位。
代表産駒に、アドマイヤドン(朝日杯FS、フェブラリーS、JBCクラシック3連覇など)、
ギルデッドエージ(中山大障害)、ヒシアトラス(重賞3勝)など。
◆フリーメーソン
「時計館の殺人」の記事参照。
謎めいた組織であることから、様々な陰謀を首謀していると想像されることが多く、
作中では、沢田が「JRAの暗号に関する様々な都市伝説は、競馬ファンの間では、
フリーメーソンの陰謀以上に広く流布している」と語るシーンが登場する。
◆世界最古の密室ミステリー
1841年イギリスの小説家エドガー・アラン・ポーが発表した
「モルグ街の殺人」のことかと思われる。作中では、世界初の密室ミステリー
と紹介されているが、世界初の推理小説と呼ばれることも多い。
◆キリング・ミー・ソフトリー
元々は1972年にロリ・リーバーマンが発表した楽曲だが、翌年、ロバータ・フラック
がカバーすると大ヒットし、全米1位を記録。翌年のグラミー賞でも
最優秀レコード、最優秀楽曲などを受賞した。
作中では、青砥の携帯の着メロで使われていた。
◆REM
1980年に結成されたアメリカのオルタナティブ・ロックバンド。
「アウト・オブ・タイム」(1991年)、「モンスター」(1994年)、
「アクセラレイト」(2008年)といったアルバムが全米1位を記録。
代表曲は、「スタンド」「ルージング・マイ・レリジョン」など。
作中では、レム睡眠(Rapid Eye Movement)の略称でREMという単語が登場した際に
青砥が「そういう名前のロックグループがいたから、知ってるわ」と話すシーンが登場。
◆チェスタトンの「見えない男」
チェスタトンについては、「悪の教典」の記事参照。
「見えない男」は、「ブラウン神父」シリーズの一作で、1911年刊行の
「ブラウン神父の童心」に収録されている。
作中で、榎本が語っている通り、誰もが見ていながら、心理的に見えなかった人間
がおり、彼の犯行であったというストーリー。
◆サフィ焼き
サフィはモロッコの港町。良質の陶土が取れることから陶器の製造で有名。
青と白をベースにしながら、原色に近い色合いの作品が多いことで知られる。
作中では、青砥が事務所で使っているマグカップがこの焼き物だった。
◆ゼロハリバートン
1938年にアメリカでアール・P・ハリバートンが創業した、
アルミニウム素材のアタッシェケース等を製造するメーカー。
1969年にアポロ11号が月の石採集を計画した際、収納するケースとして
本メーカーのものが採用されたことでも知られる。
作中では、闇金の小池が、椎名邸に乗り込む際に持っていたバッグ。
◆ポーの「盗まれた手紙」
エドガー・アラン・ポーが1845年に発表した短編小説。
探偵オーギュスト・デュパンが登場するシリーズの三作目。
作中で、榎本が「ポーの『盗まれた手紙』を思い起こす。もしかすると、
ダイヤへの扉は、あまりにも大っぴらに、堂々とさらけ出されているが故に、
見えないのだろうか。」と述べるシーンがあるが、
「盗まれた手紙」は堂々と、誰の目にも見えるところにあったが故に、
発見されなかったというトリックが使われている。
◆ヴェスパ
「びっくり館の殺人」の記事参照。
作中では、椎名が殺人に及んだ当日、会社からの移動手段に使ったバイク。
ストーリー上の謎、ネタバレ
◆頴原 昭造を殺したのは誰か?
ベイリーフが入居する六本木センタービルの管理会社、渋谷ビルメンテナンス社員、
佐藤学=椎名章が犯人。
◆椎名が頴原 昭造を殺した理由は?
穎原は専務の久永と共謀してベイリーフの金を約6億円横領し、小粒のダイヤモンドに
変えて社長室に隠していた。椎名は窓掃除の最中にゴンドラからダイヤを数える
穎原を見たため、そのダイヤを盗もうとした。当初は殺すことは考えていなかったが、
ダイヤを大っぴらにではできない種類のものの可能性が高く、
だとすれば穎原を殺してしまえば、そもそも盗難があったこと自体が
誰にも気づかれないのではないかと考えたため。
◆密室に侵入し、穎原社長を殺したトリックは?
椎名は事前にベイリーフへ侵入し、社長室の窓ガラスに細工し、
わずかに動くようにした。そして、社長用の角砂糖に工作して睡眠薬を混ぜた。
当日、まず、窓掃除の相方のバイクに細工をして、来られないようにした。
その間に、一人でゴンドラを操作し、社長室の前まで移動した。
熟睡している穎原の頭をルピナスVを使って窓にぴったりと押し当てさせ、
そこにボーリングの玉をぶつけて殺害した。
ちなみに、ダイヤ自体は事前に椎名に盗まれている。椎名は、ダイヤの隠し場所が
社長室に置かれている重厚なキャビネットの下に隠し扉があることを発見し、
ルピナスVを使ってキャビネットを持ち上げさせて、隠し場所から盗んだのだ。
◆榎本の正体は?
表向きは防犯グッズショップ「F&Fセキュリティ・ショップ」を経営する
防犯コンサルタントだが、実際には泥棒であると思われる。
六本木センタービルのベイリーフ社長室へ侵入してダイヤを探していたり、
警備員の沢田や、石井の家に侵入したり、椎名の家に侵入して
ダイヤの入った一つの包み分24個のダイヤをホワイトジルコンにすり替えたりしている。
◆タイトルの意味は?
作中で、青砥は「爆発的なエネルギーを持っているのにひどく傷つきやすい」
若者をガラス細工の凶器=硝子のハンマーに例えた。犯人の椎名のことを
さしていると考えられるタイトル。
<続編>
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