「迷路館の殺人」の謎・ネタバレ

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ストーリー上の謎、ネタバレ

◆アリアドネの糸玉

 作中に、以下のような表現がある。

ミノス王の娘でありながら、若者テセウスに恋し、
怪物を倒すため迷宮へ踏み込む彼に、

道標に使う糸玉を授けた王女……。

 補足すると、神話では、テセウスはアリアドネから渡された糸玉を
少しずつ繰りながら迷宮へ入った。
そして、帰りはその糸を辿ったことで、迷宮最奥から無事帰還できたという。

アリアドネ像の右掌に載せたビリヤードのボールが、
真のミノス王の部屋へ繋がる迷宮の扉の在りかへと
転がっていくという仕掛けは、この神話に倣ったものと考えられる。

 

◆「迷路館の殺人」を受け取った「島田」について

 プロローグに登場し、「迷路館の殺人」を受け取った「島田」は、
潔ではなく、長兄の勉。
「島田」が鹿谷門美から本を受け取ることで、
島田潔≠鹿谷門美と読者に思わせる為の叙述トリック。

鹿谷門美のペンネームは、島田潔→SHIMADA KIYOSHIを
SHISHIYA KADOMIと並び変えたアナグラムによる。

 

調べたくなる言葉

◆黒死館殺人事件、ドグラ・マグラ、虚無への供物

 この3冊で日本三大奇書と呼ばれる。
奇書とは珍しい本という意味。この場合の珍しいとは、
発想やアイデアが奇抜で珍しいという意味と思われる。
つまり、何を言っているか理解するのが大変な作品たち。

黒死館殺人事件は小栗虫太郎による1934年の作品。
ドグラ・マグラは夢野久作による1935年の作品。
虚無への供物は中井英夫による1964年の作品。

 

◆リンダーホフ城のヴィーナス洞窟

 ドイツ南部、バイエルン州に位置する城(宮殿)
バイエルン王ルートヴィヒ2世により、1878年建設された。
ヴェルサイユ宮殿内の大トリアノン宮殿をモデルに造られ、
内部はロココ様式に、豪華絢爛に装飾されている。

 ヴィーナスの洞窟は、城の背後の山に造られた人工の洞窟。
ルートヴィヒ2世が、タンホイザー(ワーグナー作曲)の
世界に浸るために造った幻想的な洞窟。

<参考動画>

 

◆カセットテープ

 コンパクトカセットとも言う、磁気テープを使用したアナログ録音用メディア。
1960年代にオランダのフィリップス社が開発し、特許を公開したため広く普及した。
90年代前半ごろまでは録音用メディアとして主流の地位を占める。
その後、92年発売のMDやCD-R等のデジタルメディアにその座を譲った。
ブログ主は子供のころ、ラジカセをTVの前に置き、番組を録音した記憶がある。

 

◆ワープロ(ワードプロセッサー)、フロッピーディスク

 コンピュータを用いた、文書の作成、編集、印刷等の機能を持つシステム。
現在はパソコンのワープロソフトを使用するのが一般的だが、
ここではワープロ機能に特化した専用機のこと。

 NECの文豪、富士通のオアシス(OASYS)はワープロ専用機の主流機種。
(その他には、シャープの書院、東芝のRupoなど)
90年代に入ると、パソコン及びワープロソフトの低価格化により、
徐々に取って代わられた。

 フロッピーディスクは当時のワープロで主に使われた記録媒体で、
磁気ディスクの一種。
最も普及したのは、3.5インチディスク、容量は1.44MBのもの。
90年代後半以降、CDやUSBメモリーの登場により、姿を消した。

 

◆悪魔の折り紙

 1982年発行の「ビバ!おりがみ」(前川淳 著)にて発表された、
折り紙界に衝撃を与えた作品。もちろん、作中の記述の通り、指が5本ある。
展開図から折り方を設計する技法が用いられていることが特徴。
参考動画を見ていただくと分かるように、とても複雑で難しそう。

<参考動画>

 

 

◆Yの悲劇

 1932年にエラリー・クイーンがバーナビー・ロス名義で発表した長編推理小説。
ドルリー・レーンを主人公とする4部作(Xの悲劇、Yの悲劇、Zの悲劇、レーン最後の事件)の2作目。
他作品のネタバレになるので詳細は避けるが、作中に記述されている通り、
「小説のシチュエーションどおり」に殺人が発生する。

 

◆屋根裏の散歩者

 江戸川乱歩の短編小説(1925年発表)。
タイトルの通り、犯人は屋根裏を自由に歩き回って殺人を犯す。

本作の秘密の通路を行き来するトリックと類似と言えなくはない。

 

<次回作>

 

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