「人形館の殺人」の謎・ネタバレ

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ストーリー上の謎、ネタバレ

◆真犯人は誰?

 真犯人は飛龍想一。正確には、想一の別人格。
線路への置石で結果的に実母を殺したこと、
マサシゲくんを川に突き落とし殺したことへの
罪の意識から生まれた彼は次のように考えていた。

 飛龍の心の中に存在する、彼の『罪』の告発者であり、
かつまた”死”へ向かうベクトルの忠実な推進者だった。
この《彼》は、みずからを飛龍想一とは別個の人間であると意識しつつ、
彼を殺さねばならない、と考える。

  この別人格が、母屋に火をつけて沙和子を殺し、辻井を殺した。
沙和子を殺した理由は、自殺未遂以降、想一本体は母のために生きなければならないと
強く思っていたため、まずはその生きる理由を消し去る必要があったため。

 辻井は想一(別人格)に子供殺人の現場を見られた。
それにより、想一(別人格)からマサシゲくんを殺した28年前の想一(本体)と同じく、
死すべき存在と認識されたため、殺された。

 道沢希早子を襲った理由は、沙和子と同じく、想一(本体)の生きる理由に
なりつつあったため。

◆作中に登場した島田潔について

 手紙で登場する部分は本物の島田潔。
電話や、本人が登場するシーンは全て飛龍想一の第3の人格。

つまり、想一(島田)が話した人形館住人全員の苗字が、
電車事故の被害者の苗字と一致することや、
隠し通路を探す場面などは全て妄想ということ。

 想一(島田)が人形館に参上し、住人を相手に想一を探す場面で、
皆が皆、虚をつかれたり、戸惑ったりしたのは、
初対面の島田に話しかけられたからではなく、想一が島田なる人物を名乗っていたため。

 第3の人格「島田潔」の役割は以下の通り。

第二人格の《彼》とは逆に、本体である飛龍を助け、彼を”生”へと向かわせる役割を担っていた。
かつて本物の島田潔がそうであったように、ね。

◆「マサシゲくん」は本当は架場久茂の兄ではなかったのか?

 明確に語られてはいないが、可能性は高い。
想一を早い段階で犯人ではないかと疑っていたのに、傍観に徹したこと。
つまり、放っておけば事態が悪化することを認識していながら放置したことは怪しい。
加えて第十章のラストでの独白。とても関係無いとは思えない。

心の奥深くで見え隠れする、遠い、……遠すぎる風景。
それは決して、誰に話すものではない。

◆人形館は中村青司の設計だったのか?

 おそらく、No。
理由は、中村青司の年齢と緑影荘の改装時期が合わないため。
(改装時、青司はまだ学生が卒業直後くらいのため)

調べたくなる言葉

◆フランス窓

 天井から床までの高さがある、観音開きのガラス窓のこと。
テラスやバルコニーに面して設けられる。
17世紀のフランスで考案された。

◆送り火

 五山送り火は、毎年8月16日に、
如意ケ嶽(大)、西山&東山(合わせて妙法)、船山(舟形)、
大北山(大)、曼陀羅山(鳥居形)の五山で行われるかがり火で、
京都の夏の風物詩。(括弧内は描かれる文字または図形)
お盆で帰ってきた死者の魂をあの世へ送り返す行事。

◆三味線の皮

 三味線の棹や胴の部分に張られている皮には、
猫の腹の皮が使われてきた。
理由は、皮の大きさが三味線に適していることと、
柔らかく肌理の細かい猫皮を使うと、音色が良くなるため。
(犬の皮や合皮も使われるが、音色の点で劣る)
近年では、猫皮は貴重なため、高級品でのみ使われている。
作中にあるように、1973年の動物愛護法施工の頃までは、
猫捕りと呼ばれる専門業者がいた。
(想一と沙和子の会話からすると、1987年の時点では、
忘れ去られつつある存在だったようだ)

◆哲学の道

 琵琶湖疎水に沿って、若王子橋から銀閣寺まで続く歩道。
京都大学の哲学者、西田幾多郎らが好んで散策し、
思索に耽ったことが由来。

◆S&G

 おそらくは1960年代を代表するアメリカの音楽デュオ、
サイモン&ガーファンクルのこと。
美しいメロディと二人の声のハーモニーが特徴。
「アイ・アム・ア・ロック」「スカボロー・フェア」「いとしのセシリア」等
多数のヒット曲が世に送り出した。
中でも、「サウンド・オブ・サイレンス」「ミセス・ロビンソン」「明日に架ける橋」
の3曲は全米1位を記録した。

<参考動画>

 

◆ピンクの電話

 竹内都子と清水よし子が結成したお笑いコンビのこと、ではない。
飲食店等の店舗に設置された公衆電話の一種。

携帯電話も無く、固定電話の設置に高額費用が掛かった当時、
アパートや下宿などに共用の電話として設置されていることも多かった。

◆タナトス

 ギリシャ神話に登場する、死そのものを神格化した神の名。
精神分析学者フロイトはその名にちなんで、
死に向かおうとする欲動をタナトスと呼んだ。

◆シビルの十六人格

 シビルは1973年にアメリカで発表されたノンフィクション作品、
「失われた私」の主人公。(著者はフローラ・R・シュライバー)

 16の人格を持つ、解離性同一障害のアメリカ人女性、
シビルの生涯を描いたとされる作品。
2011年に「Sybil Exposed」(日本語訳無し)という暴露本が発表され、
その内容が、原資料を元に、徹底的に調査された、信頼できるものであったため、
現在では、当のアメリカ人女性、医師、著者による捏造の可能性が高いとされる。

<次回作>

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