「十角館の殺人」の謎・ネタバレ

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ストーリー上の謎、ネタバレ

◆守須が壜を拾って島田に渡すよう、子供に伝えるシーン

 プロローグで、以下のような記述あり。

 最後の審判は人ならぬものに託したかった。
壜がどこへ流れ着くか、その確率は問題ではない。
ただ、海に――あらゆる生命を産み出したこの海に、
最終的な己の良否を問うてみたいと思った。

 エピローグにて、
自分の中の千織が問いかけに答えなくなり、姿も見せなくなった。
加えて、島田に真実を見抜かれたようだ。
この状況下で、壜が自分の元に戻ってきた。
審判を託した人ならぬ海は、良否を問うた海は、
自分に否を突きつけた。
守須はそのように感じたのではないか。

調べたくなる言葉

◆英国のあの、高名な女流作家が構築したプロット

 人が一人ずつ減っていくプロット。
アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を指すと思われる。
同作品に関連する単語は、作品中に散りばめられている。


 MOTHERGOOSE(島田と河南が出会って最初に入った喫茶店)は、
英語圏の童謡集。「そして誰もいなくなった」はその一つ、
「10人のインディアン」の歌詞に従って殺人が起きる。

 死人島(ミステリ研の会報)は、「そして誰もいなくなった」の初の日本語訳時タイトル。

 壜の中の告白文は「そして誰もいなくなった」でも使われる小道具。

 

◆ハートの4

 エラリー・クイーンの小説。舞台はハリウッド。
もちろん、殺人事件も起きるが、
あのエラリー・クイーンが恋をする物語。

 

◆ホッテントット族

 アフリカ南西部(ナミビアなど)に居住する遊牧民族。
「ホッテントット」はボーア語で、「どもる人」という意味の蔑称であるため、
現在はコイ族と呼ばれる。

 

◆磨崖仏

 岩壁に直接彫られた仏像。
国東半島には、重要文化財に指定されている熊野磨崖仏など、
多くの磨崖仏が存在している。

 

◆バールストン先攻法(ギャンビット)

 真犯人である人物を、既に死んでしまったかのように見せかけ、
読者が彼(彼女)を容疑者から
除外するように仕向ける手法

 

 

◆旧約聖書 ダニエル書

 ダニエル書は旧約聖書の中の一書。
主人公のダニエルは紀元前6世紀のユダヤ人。
キリスト教における預言者の一人。
バビロニア王ネブカドネザル2世による
歴史上有名なバビロン捕囚により囚われの身となったが、
優秀であったため、王に重用された。

 書の内容としては、ダニエルがバビロニアに仕えるようになった経緯、
宮仕えの中での出来事、ダニエルが見た幻視で構成される。

 暗号? 宮仕え中の出来事から幻視の部分は丸ごと
暗号みたいなものなので……(ギブアップ)

 

◆徒然草の暗号歌

 徒然草は鎌倉時代に吉田兼好によって記された(とされる)随筆。
暗号歌は第六十二段を指すと思われる。

 延政門院、いときなくおはしましける時、
院へ参る人に、御言つてとて申させ給ひける御歌

 ふたつ文字、牛の角文字、直すぐな文字、歪み文字とぞ君は覚ゆる

 恋しく思い参らせ給ふとなり。

 延政門院という皇女が幼いときに、父(後嵯峨上皇)に宛てた歌。
ふたつ文字=「こ」(漢字の「二」に似ているから)
牛の角文字=「い」(牛の角に形が似ているから)
直すぐな文字=「し」(当時は真っ直ぐな線に近い書き方をしたから)
歪み文字=「く」(ゆがんだ文字だから)

まとめると、(お父様を)恋しく思っています。

 

<次回作>

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