「黒猫館の殺人」の謎・ネタバレ

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調べたくなる言葉

◆隣のデスクのU氏

 迷路館で登場した宇多山英幸氏のこと。
迷路館で起きた事件を小説化するよう、島田潔に勧めた人物。

 

◆エドガー・アラン・ポウの短編小説「黒猫」

 1843年発表。作中で風間がでっち上げた黒猫館の由来と同じく、
妻を殺して地下室の壁に塗りこめた男が、その際に、
生きたまま一緒に塗りこめてしまった猫によって殺人が露見するというストーリー。

 

◆ハーフティンバーという様式

 ドイツ、フランス、イギリスなどの北ヨーロッパで用いられる木造建築の一様式。
柱や梁、窓台などの骨組みとなる木材をそのまま外観として活用し、
間をレンガや漆喰で埋めて仕上げる。
ティンバー(木材)とそれ以外の部分が半々のためこの名称。
作中では、神代元教授の自宅がハーフティンバー様式の建築物として登場。

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「ハーフティンバー」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2018年4月10日 10:10 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

◆ジュリアン・ニコロディ

 架空の建築家。作中では、20世紀前半に活躍したイタリアの建築家で、
入口が無い部屋や、登れない階段など、
近代主義建築=合理主義精神に反した作品を残したと紹介。
中村青司に影響を与えたかもしれない建築家。

 

◆海泡石のパイプ

 海泡石は英名でセピオライトという多孔質で柔らかく軽い粘土鉱物の一種。
美しい白色のものが多く、熱に強い特徴があることから、パイプに用いられる。
トルコのエスキシェヒルが産地として有名。
作中では、神代元教授が嗜む場面が登場する。

<参考画像:海泡石のパイプ)


「海泡石」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2018年7月21日 03:54 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

◆二笑亭

 1930年代後半、東京深川に実在した個人邸。
五右衛門風呂と西洋式のバスタブが共存する風呂場、鉄製の畳の縁、

鉄棒をひたすら並べたフェンス、奥行がほとんど無い押入など
居住性を無視した奇妙な建物であった。

 

◆P.D.JAMES”THE SKULL BENEATH THE SKIN”

 1982年に発表されたミステリー小説。邦題は「皮膚の下の頭蓋骨」
女探偵コーデリア・グレイを主人公に、孤島で発生する殺人事件を描いた作品。
作中では、氷川隼人が読みかけていた本として登場。

 

◆ジョージ・A・ロメロの『クリープショー』

 1982年にアメリカで公開されたホラー映画。
5話の短編で構成されたオムニバス形式。
そのうちの一話に、ゴキブリ嫌いの人が、ゴキブリ駆除をしようとするが……
いう話が含まれている。

 

◆イカ天

 TBSの深夜番組、「平成名物TV」の1コーナーである、
「三宅裕司のいかすバンド天国」のこと。
1989年2月から1990年12月まで放送された。
毎回10組のロックバンドが登場し、
審査員によって選ばれたバンドがチャンピオンと対決するという構成だった。
同番組から世に出たバンドに、
BEGIN、たま、BLANKEY JET CITY、JITTERIN’JINNなどがいる。

 

◆エラリイ・クイーンの「神の灯」

 あったはずの建物が消失するトリックが使われている。
鮎田の手記中の黒猫館と、実際の黒猫館の違いについて、
鹿谷に説明を受ける江南はこのトリックを思い浮かべた。

 

ストーリー上の謎、ネタバレ

◆鮎田冬馬の正体について

 天羽辰也その人。彼は破産して黒猫館を手放さざるを得なくなった。
しかし、殺してしまった養女の理沙子を地下に隠していたため、
どうしても黒猫館にとどまり続ける必要があった。
鮎田はそのために名乗った偽名。彼は、この名で管理人として黒猫館に留まり続けた。
鮎田冬馬の名前は、天羽辰也→AMOTATUYAを逆から読んだときに現れる。

 

◆「どじすん」とは

 建築家・中村青司は依頼主の天羽について
「あれはどじすんですね」という感想を漏らしたとされる。
そのどじすんとはルイス・キャロルの本名、
チャールズ・ラトウィッジ・ドジスンを指している。
つまり、天羽はルイス・キャロルのような人物だということだが、
その意味するところは、どちらも少女しか愛せない人物だということだった。

 

◆黒猫館と白兎館

 中村青司が天羽辰也の依頼で建てた二つの館は赤道を挟んでほぼ線対称の位置にある。


鮎田の手記での出来事は、タスマニアの黒猫館で、
鹿谷や江南が記憶喪失の鮎田と訪問したのは阿寒の白兎館。
黒猫館は「鏡の国のアリス」を、白兎館は「不思議の国のアリス」を
モチーフに使用している。(「鏡の国」は「不思議の国」の続編)
「不思議の国」では、アリスは「白い兎」を追いかけて、
穴に飛び込んで物語が始まり、着いた先はハートの女王が支配するトランプの王国。
そして、白兎館の広間のステンドグラスはトランプの絵札をモチーフにされている。
一方、「鏡の国」では黒猫のキティを抱いて鏡の中の世界を空想しているうちに、
その中に入ってしまうところから物語が始まり、着いた先は
赤の女王、白の女王、白の騎士などが登場するチェスをモチーフとする世界。
そして、黒猫館の広間のステンドグラスはキング、クイーン、ナイトなど、
チェスの駒がモチーフにされている。

 

<次回作>

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