「びっくり館の殺人」の謎・ネタバレ

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調べたくなる言葉

◆少年探偵団、怪盗ルパン

 少年探偵団は、江戸川乱歩の探偵小説、「明智小五郎」シリーズ及び、
彼ら自身を主人公とするシリーズに登場する。
小林芳雄(小林少年)を団長とし、明智小五郎を補佐する。
1936年の「怪盗二十面相」で初登場。

 怪盗ルパンは、フランスの小説家モーリス・ルブランの推理小説、
「アルセーヌ・ルパン」シリーズの主役の怪盗。初登場は1905年。

 どちらも、永沢三知也が子供のころ、好きだった物語。

 

◆ビスクドール

 19世紀にヨーロッパの富裕層の貴婦人、令嬢の間で流行した人形。
元々は、二度焼き(=ビスキュイ⇒ビスク)された陶器で作られていたため、
この名で呼ばれるようになった。
作中では、びっくり館の「リリカの部屋」にビスクドールが置かれていたとある。

「ビスク・ドール」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2018年8月9日 6:27 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

◆うろこの家

 神戸市中央区にある歴史的建造物(洋館)。
神戸で最初に公開された異人館。1905年に外国人向けの高級借家として建てられた。
外壁を覆う天然石が、魚の鱗のように見えるためにそう呼ばれている。


「うろこの家・うろこ美術館」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2018年8月8日 1:24 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

◆スーパーファミコンの格闘ゲーム

 作中で、94年9月下旬に三知也がクラスの子に誘われて、
トーナメント形式のゲーム大会に出たとある。
時期を考慮すると、1994年6月にスーパーファミコンで発売された、
「スーパーストリートファイターⅡ」の可能性が高い。
前年の「ストリートファイターⅡ ターボ」に続いて発売され、
大きな変化点としては、登場するキャラクターが
4人(T・ホーク、フェイロン、キャミィ、ディージェイ)増えたことが挙げられる。
同作は約200万本を売り上げた。
「しょーりゅーけん!」は、シリーズの主人公であるリュウ及び、その同門で、
ライバル、親友のケンが使用する必殺技。

 

◆モルグ街の殺人

 1841年に発表されたエドガー・アラン・ポーの推理小説。
密室殺人、オーギュスト・デュパンという名探偵の存在等、
後の推理小説の原型を作り出した。
作中で三知也が言うように、世界最初の推理小説とされる。

◆セラフィムとケルビム

 どちらもキリスト教、ユダヤ教の天使の階級名。
セラフィムはヘブライ語で燃え盛るものを意味するセラフの複数形。
日本語では熾天使と表記される。(「熾」は燃えるという意味)
三対六枚の羽を持ち、5世紀の偽ディオニシウスによる分類では、
天使の九階級のうち、最上位とされる。

 ケルビムは、ヘブライ語で仲介者、仲裁者を意味するケルブの複数形。
日本語では、智天使と表記される。偽ディオニシウスによる分類では、
熾天使に次ぐ、二番目の位階であるとされた。
神は、アダムとイヴのエデン追放後、ケルビムをエデンの東に置かれ、
生命の樹への道を守らせたとされる。
作中では、古屋敷俊生が飼っていたペットのニホントカゲとカナヘビの名前。 

 

◆ベスパ

 VESPAはイタリアのオートバイ・メーカー、ピアッジオが製造、販売する
スクーターの商品名。イタリア語でスズメバチを意味する。
丸みを帯びた可愛らしいデザインが特徴。
映画「ローマの休日」で、オードリー・ヘプバーン演じるアン王女が
市内を回る際に乗っていたスクーターとして有名。
作中では、新名が中古で買って乗っていた。

「ベスパ」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2017年11月4日 12:24 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

◆虚無への供物

 1964年に発表された中井英夫による推理小説で。
「ドグラ・マグラ」「黒死館殺人事件」と共に、
日本探偵小説史上の三大奇書と称される。
作中では、新名がファーストフード店で読んでいた本。
こちらの「迷路館の殺人の」記事でも紹介)

◆1954年9月26日の海難事故

 作中で、この日の海難事故で俊生と梨里香の実の祖父母が亡くなったとされている。
その事故は実際に発生した事故で、津軽海峡にて、青函連絡船・洞爺丸が、
台風の影響で沈没した洞爺丸事故を指す。
この事故では、死者行方不明者合わせて1,155人を数える、日本海難史上に残る事故。

 

タイタニック

 1912年に竣工したイギリス船籍の豪華客船。同年、処女航海で、北大西洋を航行中、
氷山に激突して沈没した。犠牲者は約1,500人。
1997年公開のジェームス・キャメロン監督の作品など、
幾度か映画化されている。

 

◆666のあざ

 新約聖書、ヨハネの黙示録では、666は獣の数字とされている。
転じて、悪魔を指す数字とされた。作中で、新名が話していた昔のオカルト映画とは、
1976年公開のアメリカ映画、「オーメン」のことと思われる。
「オーメン」は6月6日午前6時に生まれ、頭に666のあざがある悪魔の子、
ダミアンをめぐるホラー映画。

 

ストーリー上の謎、ネタバレ

 

◆昔、知り合いに同じ「みお」っていう名前の女の子がいた

 作中で、びっくり館の設計者、中村青司が梨里香、俊生の母、美音(みお)
のことを気にかけていた理由として、「リリカ」が語るシーンが登場するが、
中村青司の知り合いの「みお」とは、「暗黒館の殺人」で登場した、
浦登美魚(うらどみお)のこと。

 また、びっくり館の落成にあたり、美音へ「サティのピアノ曲が入ったレコード」
をプレゼントしたとあるが、「暗黒館の殺人」で、美魚が「グノシェンヌ」などを
弾くシーンが登場する。
(詳しくは、こちらの暗黒館の殺人の記事参照)

 

◆新名の想像とは?

 「びっくり館のクリスマス」の2章で、梨里香と俊生の父親について、
新名、三知也、あおいの三人で話していた際に、「もしかしたらあの人」と何かを
言いかけて止めるシーンが登場するが、その想像とは何か?

第3部の「びっくり館再訪」、10章にて三知也が以下のように想像している。

新名さんはあのとき、きっとこう云いたかったのだ。
美音にふたりを産ませた男は、もしかしたら古屋敷氏自身だったのではないか、と。

 まるで「暗黒館の殺人」の玄遙のような話だ。

 

◆「Help us!」の意味とは?

 作中で、三知也が俊生からもらった秘密箱を開けたら出てきた紙に書かれていた言葉。
「何」から「誰」(usとは誰のことか?)を助けて欲しいのだろうか?
この話を新名、あおいに話した際には、三人の見解は「古屋敷氏」から、
「俊生と梨里香(リリカ)」を助けて欲しいというものだった。

しかし、第3部にて、びっくり館を再訪した三知也は、考えを改めている。
その見解とは、「俊生の心に巣食う、梨里香=悪魔の子の魂、ある種の邪悪」から、
「俊生と古屋敷氏」を助けて欲しいというものだ。
その見解は、俊生は梨里香に行動を操られて、三知也からのプレゼントのゲームボーイを
破壊したり、可愛がっていたペットのトカゲを殺したり、古屋敷氏を殺したり
させられたのではないかという推測に繋がる。

そして、その見解の正しさは、ラストシーンの、完全に梨里香に操られていると
思われる俊生と、同じく操られていると思われるあおいの登場により証明された。
この二人と出会ってしまった三知也はどうなってしまうのか。
前出の「オーメン」のような、良くないことが起こることを予感させる、
ホラー映画的なラストシーンである。

 

<続巻>

 

 

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