「奇面館の殺人」の謎・ネタバレ(1/2)

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※この記事では、講談社文庫版の上巻のみについて記述しています。
 下巻についての記事はこちら

調べたくなる言葉

◆フレデリック・ダネイ

 フレデリック・ダネイは1905年10月20日アメリカ生まれ、1982年9月3日死去した
推理作家。マンフレッド・ベニントン・リーと共に、「エラリー・クイーン」、
「バーナビー・ロス」のペンネームで活躍した。
代表作に、エラリー・クイーンの「ローマ帽子の謎」から始まる国名シリーズ、
「Xの悲劇」「Yの悲劇」「Zの悲劇」などがある。

 

宮垣杳太郎

 架空の作家で「迷路館の殺人」に登場する、探偵小説の大御所。
「暗黒館の殺人」の記事も参照)

 

◆ラヴクラフト

 ハワード・フィリップス・ラヴクラフトは、1890年アメリカ・ロードアイランド州
生まれの小説家。「クトゥルフの呼び声」「這い寄る混沌」など、
独特の世界観に基づく作品を残した。それらは、死後に体系化され、
現在では「クトゥルフ神話」体系として知られている。

 

◆マンフレッド・B・リー

 フレデリック・ダネイと共に、「エラリー・クイーン」などのペンネームで活躍した
マンフレッド・ベニントン・リーは、1905年1月11日生まれ、1971年4月3日死去。

 

◆「奇面城の秘密」

 作者の江戸川乱歩は1894年東京生まれの推理小説作家。
代表作に「明智小五郎」シリーズ、「少年探偵団」シリーズがある。
「奇面城の秘密」は、「少年探偵団」シリーズの一作で、1958年発表。

 

◆降矢木算哲

 1935年に刊行された、小栗虫太郎の長編推理小説、「黒死館の殺人」の登場人物。
舞台となっている神奈川県の大城館、黒死館の創設者で、医学者と言う設定。
「黒死館の殺人」は「ドグラ・マグラ」「虚無への供物」と共に、
日本三大奇書の一つと称される。
「迷路館の殺人」の記事も参照)

 

◆ヤマさん、チョウさん

 作中で、兵庫県警の元刑事が自分のことを「ヤマさん」と呼んでくれと言ったのに対し、
鹿谷が同僚に「チョウさん」もいるのだろうかと考えるシーンが登場する。
おそらくは、1972年から86年にかけて放送された日本の刑事ドラマ「太陽にほえろ」の
登場人物の思い浮かべたものと思われる。
新宿区七曲署捜査一課捜査一係を舞台に、刑事たちの活躍を描いたドラマだが、
登場人物が殉職により、入れ替わっていくパターンが有名。
「ヤマさん」は、露口茂演じる「山村精一」で、
「チョウさん」は、下川辰平演じる「野崎太郎」のことである。
(ニックネームのチョウさんは、役職の巡査部長から)

 

◆「影を殺した男」が暗示的とは?

 作中で、事件があった夜中に、新月瞳子がサロンで見ていた映画、
「世にも奇妙な物語」の第2話「影を殺した男」について、
鹿谷が「ふうん。なかなか暗示的だなあ」と感想を漏らしている。
その意味するところは、以下の通りではないだろうか。
「影を殺した男」は、ドッペルゲンガーを主題とした作品で、
主人公のウィリアム・ウィルソンは、自分とそっくりの男に人生を翻弄され、
最後には彼を殺してしまう。
「奇面館の殺人」において、「もう一人の自分」を探す奇面館の主人が、
「もう一人の自分」候補者に殺されたことは、類似性があり、暗示的である。

 

◆悪魔の折り紙

 一枚の折り紙から作られる「悪魔」の折り紙は、前川 淳氏の実在の作品。
(詳細は「迷路館の殺人」の記事参照)

 

下巻についての記事はこちら

<下巻>

 

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