「1973年のピンボール」の謎・ネタバレ

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調べたくなる言葉

◆ピンボール研究書「ボーナス・ライト」

 おそらくは架空の書籍。

 

◆勇気ある追跡

 1969年のアメリカ映画。アカデミー賞主演男優賞を受賞。
1880年代のアーカンソー州を舞台に、父親を殺された少女マティが、
荒くれ者の保安官ホグバーンと、若く真面目なレンジャー、ラビーフと共に、
復讐の旅に出るというストーリー。作中では、「ボーナス・ライト」序文で、
ピンボールの前で孤独な消耗を続けている間に、できたかもしれないことの一つとして、
ドライヴ・イン・シアターでこの映画を眺めながら、
ガール・フレンドといちゃいちゃすることが挙げられている。

 

 

◆シンシナティ・キッド

 1965年のアメリカ映画。
監督ノーマン・ジュイソン、主演スティーブ・マックイーン。
若きポーカーの名手、シンシナティ・キッドが、

ギャンブルの名人、ランシー・ハワードにポーカー勝負を挑むというストーリー。
作中では、机の上に現金を置いて、友人と「僕」それぞれの取り分を分ける作業が、
「僕」にこの映画のポーカーのシーンを想い起させた。

 

◆タイプライター

 キーボードのような文字盤を押すと、活字がインクリボン越しに
紙へと押し付けられて印字される機械。
19世紀後半に商業化され、改良を重ねながら、
ワープロ、パソコンの登場まで使われた。

 

◆アビシニア猫

 猫の品種の一つ。品種名は、エチオピアのアビシニア高原だが、
原産地が同地かは不明。1868年、イギリス・アビシニア戦争後に、
イギリス兵が連れ帰った猫が祖となったため、この名がついた。
作中では、「僕」が昼休みにペットショップで遊ぶ相手。

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「アビシニアン」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2018年8月6日 12:49 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

◆ゴールド・フィンガー

 007シリーズの映画としては、三作目にあたる作品で、
公開は1964年(イギリス)。
富豪のゴールドフィンガーがアメリカ政府が金塊を貯蔵している陸軍基地、
フォートノックスを核による放射線で汚染することを企む。
目的は、金を運び出せなくすることで、自身が密輸で集めた金の価格高騰を狙うため。
そして、それを察知したジェームス・ボンドが阻止するために動く、というストーリー。
作中で、スペイン語の大学講師が、廃棄処分のピンボールマシンは、
四角く押しつぶして再生したり、港に沈めたりしてスクラップにすると
話すシーンがあるが、この映画に、ゴールドフィンガーの意に沿わないマフィアが、
車ごとスクラップにされるシーンが登場する。

 

 

◆作中に登場する音楽たち(基本的には登場順。主なもののみ)

■調和の幻想(ヴィヴァルディ)
1711年に発表された12曲からなる協奏曲集。和名は調和の霊感とも。
作中では、第三機動隊が九号館に突入した時に流れていた曲(という伝説がある)。

■ハイドンのト短調のピアノ・ソナタ
ピアノ・ソナタ第44番 作品54-1。作曲年は不明。
作中では、「僕」が土星生まれの学生の話を聞くために、
バリケード替わりの長椅子をくぐった時にかすかに聞こえていた。

■ハロー・メリー・ルウ(リッキー・ネルソン)
リッキー・ネルソンバージョンは1961年に発表。
作中では、直子が10代の大半を過ごした「街なんてものじゃない」街
に引っ越した年の歌として登場。

■ラバー・ボール(ボビー・ヴィー)
1960年に発表された、ポップス歌手ボビー・ヴィーの5枚目のシングル。
作中では、直子一家が引っ越した家の最初の住人兼設計者であった、

洋画家が無くなった年の歌として登場。

■ペニー・レイン(ビートルズ)
1967年発売の14枚目のシングル曲。
曲名はリヴァプールにある通りの名前から。
初出アルバムは「マジカル・ミステリー・ツアー」
作中では、「僕」らが雇った女事務員が一日に二十回サビ抜きで口ずさむ曲。

■イッツ・ソー・ピースフル・イン・ザ・カントリー(ミルドレッド・ベイリー)
1941年発表。ミルドレッド・ベイリーは1907年生まれ、
1930年代~40年代に活躍した白人女性ジャズシンガー。
作中では、「僕」と双子がゴルフコースを散歩するシーンで、「僕」が口笛で二回吹き、
双子がいい曲ねと褒めた。

■ジャンピング・ウィズ・シンフォニー・シッド(スタン・ゲッツ)
1951年のナンバー。
スタン・ゲッツは1927年フィラデルフィア生まれの白人サックス奏者
病み上がりに仕事をしながら、この曲をゲッツのソロに合わせて
全部口笛で吹いたら気分がずっとよくなったと「僕」は言っている。

■ジャスト・フレンズ(チャーリー・パーカー)
ジャズのスタンダードナンバー。チャーリー・パーカーの録音は1950年。
チャーリー・パーカーは1920年カンザスシティ生まれのアルトサックス奏者。
作中では、「僕」が「渡り鳥はいつ眠る?」という項を訳しているときに聞いていた。

■レコーダー・ソナタ(ヘンデル)
ヘンデルのレコーダー・ソナタは複数あるがその一つ。(作中では特定されていない)
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルは1685年ドイツ生まれの作曲家。
代表作は「水上の音楽」「メサイア」など。
作中では、何年も前のバレンタインで「僕」のガールフレンドが
プレゼントしてくれたレコード。

■ラバー・ソウル(ビートルズ)
1965年発表のビートルズ6作目のアルバム。
UKのチャートで8週連続1位を含む42週に渡りランクイン。
村上春樹の長編小説にタイトルにもなっている「ノルウェイの森」は
このアルバムの2曲目。
作中では、双子の女の子がお金貯めて「僕」のために
買ったレコード。

■オールド・ブラック・ジョー(スティーブン・フォスター)
1860年の作品。
日本語訳歌詞に、「若く楽しい日は去り、友もみな世を去って」(三宅忠明 訳)
とあるように、年老いた黒人のジョーが死を前にした悲哀を歌う歌。
作中では、霊園のスピーカーで一日に3回流される曲。確かに、午後六時の無人の墓場に
この曲が流れる光景はマッチしすぎていて、見ものだと思う。

 

 

◆作中に登場する書籍たち(基本的には登場順。主なもののみ)

□純粋理性批判(イマヌエル・カント)
1781年出版(1878年に大幅加筆版が出版)。
ドイツの哲学者イマヌエル・カントの代表的な著作。
「実践理性批判」「判断力批判」と合わせて三大批判書と呼ばれる。
カントは、当時の哲学の二大潮流、
ライプニッツらによる大陸合理論(=理性がとにかく大事)と、
ヒュームらによるイギリス経験論(=経験がとにかく大事)に対して、
両極端ではなく、理性が認識できる範囲を明らかにする(=批判)ことを目指した。
作中では、「僕」がベッドに持ち込んで、繰り返し読んでいた。

□マルタの鷹(ダシール・ハメット)
1930年に出版されたハードボイルド小説。
主人公は私立探偵サム・スペード。
単なる人探しの依頼だったはずが、実はマルタ騎士団が
スペイン皇帝に献上したとされる黄金の「マルタの鷹」を巡る
争奪戦の入り口だった、というストーリー。

□アーサー王と円卓の騎士
中世の騎士道物語。
正当なブリテン王の後継者にしか抜くことができない、岩に刺さった
「選定の剣」を抜いたアーサー及び配下の円卓の騎士たちを中心とした物語。
冒険譚、ロマンスなど長年書き継がれてきたエピソードは多岐にわたる。
1470年にウェールズの騎士、トマス・マロニーがまとめた「アーサー王の死」は、
全てではないにしても、そういったエピソードをある程度集約した代表作とされる。

 

ストーリー上の謎、ネタバレ

◆直子は「風の歌を聴け」の仏文科の女子学生と同一人物?

明言をされている箇所は無いが、共通点が多く、同一人物の可能性は高い。

<仏文科の女子学生>
・仏文科
・1970年の春休みに首を吊って自殺

<直子>
・父が仏文学者。
・1969年4月から73年5月の間に死去。
(亡くなったことは1973年5月に「僕」が直子が住んでいた街の駅に行った
帰りの電車での以下独白参照)

でも忘れることなんてできなかった。直子を愛していたことも。
そして彼女がもう死んでしまったことも。

さらに、1970年の冬は「僕にとっても孤独な季節」とあるため、
69年4月から70年冬までの間に絞られると考えられる。

 

◆スペースシップとギルバート&サンズについて

 どちらも架空の存在
(ゴッドリーブ、バリー、シカゴ・コイン、ウィリアムズのビッグ・フォーは実在)

 

<次回作>

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