「羊をめぐる冒険」の謎・ネタバレ(1/2)

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※この記事では、講談社文庫版の上巻のみについて記述しています。
 下巻についての記事はこちら

調べたくなる言葉

◆「午後の二時で、ラウンジのテレビには三島由紀夫の姿が何度も何度も繰り返し映し出されていた。」

 1970年11月25日は、三島由紀夫が陸上自衛隊市谷駐屯地にて割腹自殺した日。
東部方面総監を監禁し、自衛隊員に向かって決起を促す演説を行った後、
12時過ぎの出来事なので、14時にはワイドショー等で大騒ぎだったのではないか。

◆キリコの絵

 1888年ギリシャ生まれのイタリア人画家、ジョルジョ・デ・キリコのこと。
のちのシュルレアリスムに繋がる、形而上絵画を創設した。
特徴としては、イタリア広場などを実在の場所をベースにしながら、
影が異常に長かったり、遠近法の焦点がずれていたり、
どこか奇妙なところがあること。
まさに作中で、「不思議な見知らぬ街」と表現された通り。

ジョルジョ・デ・キリコ「通りの神秘と憂愁」(1914年)
「【作品解説】ジョルジョ・デ・キリコ「通りの神秘と憂愁」」Artpedia 近現代美術の百科事典
URL https://www.artpedia.jp/

 

 

◆ファラ・フォーセット・メジャーズ

 1947年アメリカ・テキサス州生まれの女優・モデル。
作中では、彼女の鼻を見るたびにくしゃみが出る人の話が紹介されていたが、
どういう鼻なのかは以下画像参照。

ファラ・フォーセットFarrah Fawcett

「ファラ・フォーセット」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2017年9月16日 7:18 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

◆失われた時を求めて(マルセル・プルースト)

 1913年から27年まで掛かって刊行された大長編小説。
19世紀末~第一次世界大戦へ向かうフランスの貴族社会とブルジョワ社会を舞台に、
主人公が経験してきたことが複雑な時間軸で構成されている作品。
最終編「見出された時」において、

時間によって磨滅されない永遠なるものを無意志的記憶の中に見いだすに至る
(出典:デジタル大辞泉)

とのことであり、blog主としては、タイトルのカッコよさからも気になる作品だが、
その余りの長さに読めていない。
(岩波文庫版では全14巻、1冊当たり短くても550ページ以上)
作中で、「僕」は揃いで持っているが、半分しか読んでいないと言っているが、
半分読んだだけでも立派だと個人的には思う。
作者は、1871年フランス・パリ生まれの小説家。
代表作は、ゴンクール賞も受賞している本作。

 

◆「生ひたつにつれ牢獄のかげは、われらのめぐりに増えまさる」

 作中では、「僕」が口ずさんだ古い詩の文句とされているが、
おそらくは架空の詩。意味としては、人が成長していくにつれて、
制約されることが増え、自由が減っていくというような意味か。

 

◆ドストエフスキー

 フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキーは、
1821年ロシア・モスクワ生まれの小説家。
シベリアへの流刑経験がある。
トルストイ、ツルゲーネフと並び19世紀ロシアを代表する文豪。
代表作は「罪と罰」「カラマーゾフの兄弟」「悪霊」など。

 

◆ローリング・ストーンズやビーチ・ボーイズ

 ローリング・ストーンズは1962年に、ビーチ・ボーイズは1961年に結成され、
どちらもすぐに人気ロックバンドの地位を確立した。
その彼らが、作中時点(1978年)においても、
第一線で活躍していることに鼠が驚く描写がされている。
しかし、どちらもその時から30年以上現役で活躍することを、
鼠に伝えたら何と言うか気になるところだ。

 

◆ローレンス・オリビエとオセロ

 ローレンス・オリビエは、1907年イギリス生まれの俳優・映画監督。
シェイクスピア俳優として知られ、1949年、「ハムレット」にて
アカデミー主演男優賞を受賞している。
トピックの「オセロ」でも1966年に主演男優賞にノミネートされている。
作中では、どこまでが鼠自身で、どこからが鼠のセックス・アピールなのかが、
わからなくなることを述べる部分で、
どこまでがローレンス・オリビエでどこからがオセロなのかが
からなくなるのと同じと引き合いに出されている。

 

◆パセティック

 哀れを誘うさま、感動的な、悲劇的なという意味の英語の形容詞。
作中では、以下文章が考え方としてはパセティックでは無いが、
文章にするとパセティックだと鼠が手紙に書いている。

今のぼくには放り出すべきものなんて何もない。この気分はとても素敵だ。
放り出すべきものがあるとしたら、それは僕自身くらいのものだ。
僕自身を放り出すという考えはなかなか悪くない。

 

◆良いインディアンが、死んだインディアンだけだとしても

 鼠の手紙中に登場する表現。
元々は、アメリカ南北戦争時の北軍の将軍、フィリップ・シェリダンの言葉。
降伏した部族の酋長が、「良いインディアンもいる」と言ったことに
対する返答であったとされる。

 

◆象と亀が懸命に支えている巨大な円盤

 古代インドの宇宙観では、とぐろを巻いた巨大な蛇の上に、巨大な亀がおり、
その甲羅の上に、4頭の象が乗っていて、
その像が巨大な円盤(=世界)を支えているというもの。
作中では、「僕」が世界という言葉から思い出させるものだった。

◆H・G・ウェルズが火星人に関して持っていた知識

 作中では、明治以前の日本人が羊に関して持っていた知識と
同程度(=何も知らない)として紹介。
ハーバート・ジョージ・ウェルズは、1866年イギリス生まれの作家で、
SFの父と呼ばれる。
火星人云々については、1898年に発表された「宇宙戦争」で描写された火星人が
念頭に置かれていると思われる。「宇宙戦争」はイギリスに火星人が襲来し、
地球人との戦闘になるというストーリーだが、登場する火星人は、
タコのような姿をしている。(この作品によりタコ型の火星人像が広まった)

 

◆カール・マルクス

 1818年現在のドイツ生まれの哲学者、思想家、経済学者にして革命家。
フリードリヒ・エンゲルスと共に、科学的社会主義の思想を打ち立てた。
(逆に、それまでの社会主義を空想的社会主義と呼ぶ。共産主義社会のあり方を
創造したが、具体的にそれを実現する方法論を持たなかったため、そう呼ばれる)
その思想では、高度に発展した資本主義では階級対立が激化して、
プロレタリアートによる共産主義革命に至り、ブルジョワジーは打倒され、
共産主義社会が到来することは歴史的必然であるとされた。
このように、プロレタリアートと言う階級を設定したことを黒服の秘書は、
凡庸さを固定させたと言っているのだろう。

 

◆炎に包まれたヴァルハラ宮殿

ヴァルハラ宮殿は、北欧神話における主神、オーディンの宮殿。
神々と巨人族との最終戦争(ラグナロク)において、巨人スルトが投じた炎の剣により、
世界は炎上し、ヴァルハラ宮殿もまた、燃え尽きた。
作中では、黒服の秘書が先生の死後の組織はヴァルハラ宮殿のように分裂し、
凡庸の海に没し去るだろうと語っている。

 

◆カラマーゾフの兄弟、静かなドン、ドイツ・イデオロギー

 前2作はそれぞれ、ドストエフスキー、ショーロホフによる大長編小説。
カラマーゾフの兄弟は、新潮文庫版で全3巻合計1,962ページ、
静かなドンは岩波文庫版で全8巻合計2,800ページ。
「僕」はそれぞれ3回ずつ読んだと言っているが、大したものである。
ドイツ・イデオロギーは、1845年から翌年にかけて書かれた、
マルクスとエンゲルスの草稿を後世にまとめたもの。
ページ数は日本語版(「僕」が読んだ可能性が高い1974年刊行の河出書房新社版)で、
330ページ前後とそれほど長いわけではないが、草稿という特性上、読みづらく、
また、内容も難解であるため、きっと一回でも大変だったと思われる。
あるいは、「僕」は、原語で読んだのかもしれない。その場合、
マルクス・エンゲルス全集版で本文が700ページ強、プラス付属資料が1,200ページ弱と
一挙に大長編となる。

 

 

◆チャイコフスキーの弦楽セレナーデ

 1880年に作曲された弦楽オーケストラのための作品で、
チャイコフスキーの代表曲の一つ。
作中では、先生の屋敷からの帰りに、潜水艦みたいに巨大な車の中で流された曲。
「僕」は、結婚式場の控室みたいな雰囲気になったと感じた。

 

◆ジョニー・リヴァーズとその楽曲

 ジョニー・リヴァーズは1942年アメリカ・ルイジアナ州生まれのロックシンガー。
作中では、完璧な耳を持つ彼女がお湯が沸くまでの間、
カセット・テープで聞いていたアーティスト。テープの順番は、
「ミッドナイト・スペシャル」、「ロール・オーヴァー・ベートーヴェン」、
「シークレット・エージェント・マン」「ジョニー・B・グッド」の順だった。
(曲は以下参照。ロール・オーヴァー・ベートーヴェン、
及びジョニー・B・グッドはチャック・ベリー版)

 

◆シャーロック・ホームズの事件簿(アーサー・コナン・ドイル)

 1927年に刊行されたシャーロック・ホームズシリーズの短編集。
「マザリンの宝石」、「高名な依頼人」など、12編が収録されている。
作中では、北海道へ出発前夜に読み始めてたことが述べられている。
ちなみに、「僕」は「事件簿」の後に「冒険」を読んでいるが、
「事件簿」は5つある短編集のうちで、最後のものであり、
「冒険」は最初のものであるため、時系列的には逆転している。

 

◆スピリッツ・オブ・セントルイス、エノラ・ゲイ

 前者は、1927年にチャールズ・リンドバーグが、大西洋横断単独飛行に
成功した際に、乗っていた飛行機。
後者は、太平洋戦争末期に運用されたアメリカ軍の爆撃機。
1945年8月6日、広島へ原子爆弾リトル・ボーイを投下したことで知られる。
作中では、名前を付けられる「馬的に使われている飛行機」の例として挙げられていた。

 

◆峠の我が家

 アメリカの民謡で、カンザス州の州歌。

 

<下巻>

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