「王とサーカス」の謎・ネタバレ

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調べたくなる言葉

◆カトマンズの地図


①インドラ・チョク(中世から続くバザールで、カトマンズでも特に有名な地区)
②タメル地区(観光客が集まる地区)
③パシュパティナート寺院
④ナラヤンヒティ宮殿
⑤ジョッチェン地区(トーキョーロッジがある)
⑥カンティ通り
⑦王宮通り
⑧ニューロード(電気街)

 

◆ガネーシャ

 ヒンドゥー教の神の一柱。
象の頭(片方の牙は折れている)に、恰幅の良い人間の体を持ち、
腕が4本あることが外見上の特徴。
知恵、学問、商売などの神様とされ、インドでは大人気。

◆ナマステ

 サンスクリット語で挨拶の言葉。
挨拶であれば、おはようでも、こんにちはでも、こんばんはでも、
さようならでも使える便利な言葉。

◆パシュパティナート寺院

 ネパール最大のヒンドゥー教寺院にして最高の聖地。
祭られているのはシヴァ神。世界遺産を構成する一要素。
ヒンドゥー教以外は立ち入りできない。
作中で火葬の場面が登場し、遺灰は寺院が面している川に流していたが、
川の名前はバグマティ川といい、ガンジスへ繋がる支流の一つ。
つまり、バグマティ川もまた、聖なる河であり、沐浴すればすべての罪が清められ、
遺灰を流せば輪廻から解脱できるのである。

「パシュパティナート」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2018年6月23日 08:57 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

◆ナラヤンヒティ王宮

 1866年に建設。
作中で描かれている2001年のネパール王族殺害事件ののち、

王政廃止経て、2008年に博物館となった。

◆ビクラム暦

 ネパールの公式暦。
紀元前57年を起点とする太陽暦。

1か月の日数は年によって異なるが、29~32日。

◆マオイスト

 広義では、毛沢東主義者、つまり毛沢東の政治思想の信奉者のこと。
武装闘争肯定&平和革命否定、農村を拠点とした、
農民主体の資本階級に対する階級闘争などを特徴とする。


 狭義では(作中での用例はこちら)、ネパール共産党毛沢東主義派の通称を指す。
1994年結成され、1996年に武装蜂起し、2006年の停戦まで農村部を中心に、
国土の相当部分を実効支配した。
作品の舞台は2001年なので、実は内戦の真っ最中。
作中で、ネパール王室殺害事件に関する疑惑や、民主化に反対していたため、
国民に人気が無いことを書かれていたギャネンドラ国王が専制色を強めると、
他派と連携を進め、王政廃止後は議会内での活動へ転じた。

◆チトー

 1892年、現在のクロアチア生まれの政治家。
「七つの国境、六つの共和国、五つの民族、四つの言語、
三つの宗教、二つの文字、一つの国家」と形容され、
国内外に困難な状況を抱えたユーゴスラヴィアを、
その死まで国家としてまとめ上げたカリスマ。

 外交面では、社会主義国家でありながら、ソ連と距離置き、
第三世界のリーダーとしての地位を築いた。
内政面では、労働者が企業を管理する自主管理社会主義という独自の体制を構築。
さらには、
各共和国、民族のバランスをとり、統一を維持した。

 作中にある通り、1980年の死去の際には、多くの人がその死を悲しんだが、
その後、各共和国、民族の不満が噴出し、約10年後にはユーゴスラヴィアは解体された。
現在では6つの共和国(セルビア、クロアチア、スロベニア、
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、マケドニア、モンテネグロ)は全て独立している。

◆乾屎橛

 禅宗で使われる言葉で、直接の意味は棒状の乾いた大便のこと。
禅問答で仏とは何か、という問いに対する答え。
その心は、仏=尊く、素晴らしいもの、大便=不浄で、くだらないもの、
とする常識を囚われてはいけないという意味。
仏性はあらゆるものに備わっているとした
釈迦の言葉から遠ざかることを戒めた教え。

ストーリー上の謎、ネタバレ

◆タイトルの意味

 「王」はもちろん、ネパール王族殺害事件の被害者、ビレンドラ国王のこと。
では、「サーカス」とは?
順番は前後するが、ラジェスワル准尉の言葉を引用する。


「タチアライ。お前はサーカスの座長だ。お前の書くものはサーカスの演し物だ。

我々の王の死は、とっておきのメインイベントというわけだ」
「自分に降りかかることのない惨劇は、この上もなく刺激的な娯楽だ。
意表を衝くようなものであれば、なお申し分ない。恐ろしい映像を見たり、
記事を読んだりした者は言うだろう。考えさせられた、と」

 つまり、王の死というネパール国民にとっての悲劇は、
報道を受け取る他国の人々にとって、次々に供給される娯楽の一つとして、
消費される宿命にあるということ。
宿命、というのは書く側の心づもりがいかに純粋、高尚であろうとも
関係ないということ。であるならば、
人の不幸を広めて回る=見世物、サーカスにしてしまう報道とは何なのか。
それを問うタイトル。

◆サガルの憎しみとラジェスワルの決意について

 サガルの記者に対する憎しみ。
ラジェスワルの二度とネパールをサーカスにしないという決意。

 どちらもきっかけはおそらく同じ出来事。
まず、サガルが記者を憎んでいる理由は、兄を亡くした原因となったから。
記者は、兄が働いていた絨毯工場の悲惨な労働環境を世界へ報道し、
絨毯工場を潰し、兄を失業者にした。
そして、慣れない屑拾いの仕事でのケガが元で病気になり亡くなった。

 一方で、その記者が絨毯工場を取材できたのは、サガルの兄が案内したから。
そして、その記者とサガルの兄とを繋いだコーディネーターこそが、ラジェスワルだった。
彼は、傭兵を辞めてから軍に入る前、外国のテレビ局を相手に
取材の手配を請け負う仕事をしていた。
その結果、ネパールをサーカスの演し物にしてしまった。

そして、おそらく、記者と兄の間に入ったのがラジェスワルであったことを
サガルは知っている。
だからこそ、「インドのスパイ」と呼んで蔑んでいたのではないか。

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