調べたくなる言葉
◆日の出山荘
東京都西多摩郡日の出にある山荘で、元々は元首相・中曽根康弘が所有していた別荘。
ロナルド・レーガン アメリカ合衆国大統領の他、ゴルバチョフ 元ソ連大統領など
各国のVIPが招かれている。現在は日の出町に寄贈され、公開されている。
作中では、新日本葬礼社の大石社長の別荘が近くにあった。
◆ペリカンの万年筆
ペリカンは、スイスに本社(創業はドイツのハノーファー)を置く、文房具メーカー。
ロングセラーとなっている「スーベレーン」シリーズ、最高級品の「トレド」などの
万年筆で特に知られる。作中では、製品名は大石社長が愛用したのがこのメーカー製の
万年筆だった(製品名は不明)。以下Amazonリンクは「スーベレーン」の青縞品。
◆でんじろう
米村でんじろうは1955年千葉県生まれのサイエンスプロデューサーで、
元都立高校教師。高校教師時代に、生徒たちが理科に関心を持てるように、
様々な実験を考案、実施していたことがきっかけとなり、
後に、サイエンスプロデューサーとして独立。サイエンスショーなどを手掛ける。
作中では、榎本が高澤が生徒の理科離れを防ぐために考えていた実験について、
「多くはでんじろうなんかの丸パクリですが、たまに、変わった発想も見られます」
と評していた。
◆ライデン瓶
静電気を貯める装置であり、1746年、オランダ人科学者
ピーテル・ファン・ミュッセンブルークが発見した。
同氏が教授を務めていたのがライデン大学であったため、この名がついた。
作中では、高澤が行った実験の一つでライデン瓶が使われたとされている。
◆シャルルの法則
1787年、フランスの物理学者、ジャック・シャルルが発見した法則で、
一定の圧力の下で、気体の体積は温度に比例して大きくなることを示した法則。
作中では、高澤がこの法則を利用して、高澤大樹の部屋を密室にした。
つまり、部屋を塩化ビニールのテープで目張りし、気密性を高めた上で、
エアコンで部屋の温度を上げた。そうすると、部屋の気圧が高くなり、
部屋は開かなくなった。
◆美しき天然
田中穂積作曲、武島羽衣作詞の唱歌で、1902年に完成。
当時の高等女学校で良く歌われた。作中では、青砥弁護士が落胆したシーンで、
杉崎の脳裏に流れたメロディ。
◆地球ホール(アースホール)
劇団土性骨改め、アース、セックス&ボーンの劇場名。
榎本が「やっぱり、いくら何でも」と述べている。
理由は、英語で「asshole」は尻の穴という意味のため。
◆クルト・ヴァイルの「三文オペラ」
「悪の教典」の記事参照。
作中では、ES&Bの「彼方の鳥」の開演時、弁士が状況を説明するのを見た、
ミュージカル好きの青砥は、この作品や、ロイド・ウェバーの
「ザ・ライクス・オブ・アス」を思い浮かべた。
◆ロイド・ウェバーの「ザ・ライクス・オブ・アス」
アンドリュー・ロイド・ウェバーは、1948年イギリス・ロンドン生まれの
作曲家で、ミュージカル音楽で成功を収めた。
代表作に、「ジーザス・クライスト・スーパースター」「オペラ座の怪人」
「キャッツ」など。
「ザ・ライクス・オブ・アス」は、1965年に制作した彼の処女作であり、
アイルランドの人道主義者、ジョン・バーナードの生涯を描いた舞台。
◆トアルコトラジャ・コーヒー
インドネシア・スラウェシ島の奥地で栽培される高級コーヒー。
栽培地の山岳地帯は、昼夜の寒暖差が大きい、降水量が多いなど、
アラビカ種のコーヒーが育つのに適した環境。
作中では、須賀礼が舞台を退場してから何をしていたかと聞かれ、
喫茶店でこのコーヒーを飲んでいたと答える。
◆ハードカレンシー
国際決済通貨とも呼ばれる、十分な信用があり、他国の通貨との交換が
容易な通貨を指す。具体的には、米ドル、ユーロ、日本円、英ポンドなど。
元々は、金本位制の時代にいつでもハードな通貨=金と交換可能な通貨、
という語源。作中では、須賀礼が上記喫茶店で読んでいたと主張する、
「東洋経済」に「人民元の切り上げ圧力は、ハードカレンシーのいっそうの
軟調傾向を助長するか」という記事があった。
◆勘亭流
歌舞伎の看板や番付などを書く際に使われる書体。
「江戸文字」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』から「勘亭流」
2018年3月5日 13:52 (UTC) URL : https://ja.wikipedia.org
ストーリー上の謎・ネタバレ
◆各話の事件の真相
■佇む男
新日本葬礼社の大石社長を自殺に見せかけて殺したのは、義理の甥であり、
会社では専務を務める池端。彼は、山荘で大石に致死量のモルヒネを注射して殺害。
白幕の画鋲打ちや、ガラステーブルの移動など工作をして、一度会社に戻った。
その後、約12時間後、死後硬直が最強となった頃を見計らって山荘へ戻り、
ガラステー彼はまず、ブルに足を引っ掛けてドアに寄りかからせた。
池端は直立した遺体の隙間を通って外へ出た。
さらに時間が経過し、死後硬直が解けた遺体が
徐々に滑り落ち、最後は座る恰好になり、密室が完成した。
■鍵のかかった部屋
高澤芳男は、義理の息子、大樹を練炭自殺に見せかけて殺害した。
彼はまず、大樹の食事に睡眠薬を入れ、寝ている間に練炭を焚いて一酸化中毒死させた。
その後、ドアに補助錠を取り付け、塩化ビニールのテープを使って
窓を目張りして部屋の気密性を高めた。合わせてドアにも浮いた状態で、
テープを貼り付けた。その状態で、エアコンを使って部屋の温度を上げて気圧を高めた。
すると、ドアのテープは圧力で壁、床にくっつき、さらに内開きであったため、
圧力が高まった状態では、鍵はかかっていないにも関わらず、
開けることができない状態=密室を作り出した。
■歪んだ箱
杉崎は外からはドアや窓を開けられない欠陥住宅=密室の中で、
工務店社長、竹本を事故に見せかけて殺害した。
歪んだドアは内側から強い力で枠に叩き込むと、外側からは開けられなくなる。
つまり、ドアが閉まっている状態で中に人がいなければそこは密室ということになる。
しかし、杉崎はダクト用の穴からピッチングマシンを使ってテニスボールを打ち出し、
外からドアを閉め密室を作り上げた。ボールは傾いた床で部屋の隅に集まったところを、
掃除機などで吸い出したと推測される。
■密室劇場
富増半蔵は二人きりとなった舞台下手の控室で、ビール瓶を使って
ロベルト十蘭を殺害してしまった。殺意があったわけではなく、
二人でコンビを組んで漫才をやろうとしていて、その練習中に、
飴ガラスで作った瓶だと勘違いして、本物のビール瓶で殴ってしまった。
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