「陽気なギャングの日常と襲撃」の謎・ネタバレ

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調べたくなる言葉

◆巨人の肩の上に乗った小人は、巨人よりも遠くが見える

 作中で、成瀬の部下の大久保が、彼女から言われた言葉で、
先人が積み重ねた発見に基づいて、新たな発見をすることを意味する。
 アイザック・ニュートンが、手紙の中で述べた言葉として知られる。

 

◆ウィリアム・アイリッシュ

 1903年アメリカ・ニューヨーク生まれの推理小説家。作中で、【幻】の
辞書的説明において、1942年の彼の代表作、「幻の女」が紹介され、
「――の冒頭の文章って印象的だよな忘れちゃったけど」と例文が載せられている。
「幻の女」の冒頭の文章は、「夜は若く、彼も若かったが、夜は甘いのに、
彼の気分は苦かった」(稲葉訳)となっている。

 

◆可愛いアンナ・カリーナも忌々しいアンナ・カレーニナも~

  パプリカとパエリアの名前が似ているから友達かもしれないと言う祥子に対して、
それだったらこの二人も一緒になるだろうがと響野の言葉。
 アンナ・カリーナは、1940年デンマーク・コペンハーゲン生まれの女優で、
1950年末から60年代にかけてのフランス映画の潮流、ヌーベルバーグの時代に活躍。
1961年の映画、「女は女である」でベルリン国際映画祭女優賞を受賞している。

アンナ・カリーナ Anna Karina
「アンナ・カリーナ」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』より1977年の写真。
2018年11月16日 20:55 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 アンナ・カレーニナは、帝政ロシア時代の文豪、トルストイの代表作の
タイトルにして主人公の名前。政府高官の妻であるアンナは、
若い将校と不倫の恋に落ち、なんだかんだありつつ
最後は絶望して電車に身投げしてしまう。

 

◆シューベルトのアヴェ・マリア

 作中では、響野が事あるごとに口笛で吹く曲。
詳細は、詳細は、「重力ピエロ」の記事参照。

 

 

◆アル・パチーノ

 1940年アメリカ・ニューヨーク生まれのイタリア系アメリカ人俳優、映画監督。
1972年に第一作が公開されたシシリアン・マフィアのファミリーを描いた映画、
「ゴッドファーザー」シリーズの主演で知られる。作中では、
謎の人物から劇場のチケットを渡された鮎子が「隣に座っているのが、
アル・パチーノだったりしたら嬉しい」「できれば、昔の、アル・パチーノ」
が良いと話すシーンがある。


「Al Pacino」『Wikipedia, the free encyclopedia』より31歳の頃の写真。
2 June 2019, at 4:26 (UTC)  URL : https://en.wikipedia.org

 

◆幅跳びと百メートル走の両方で記録を作った選手

 作中で、久遠と和田倉の会話で、すりと公園で暴力を振るうことは種目が違うと
話す久遠に対し、和田倉が上記のように返すシーンが登場する。
 1961年アメリカ生まれの陸上選手、カール・ルイスは、1991年の世界陸上において、
百メートル走で当時世界記録の9秒86を、走り幅跳びで、8m87を記録。
走り幅跳びの記録は、同大会で金メダルのマイク・パウエルが記録した8m95に次ぐ、
当時世界第2位の記録。同選手は百メートル、二百メートル、リレー、走り幅跳びで
オリンピックの金メダルを獲得しており、特に、
走り幅跳びではオリンピック4連覇を記録している。

 

◆ベル、ガガーリン、犬養毅、アインシュタイン、あの宇宙人

 全て、響野が銀行強盗の際に喋った中身のない演説に登場した人物?。
これらの人物?の有名な言葉の後に続けて、銀行強盗の場に出くわした人々が、
「私は銀行強盗を見た!」と言うに違いないと響野は語る。
 アレクサンダー・グラハム・ベルは、1847年スコットランド生まれの科学者、
発明家で、1876年に実用的な電話の発明に成功した。最初の言葉は、
作中とは少し違うが、「ワトソン(助手の名)君、用事があるからちょっと来てくれ」
だったとされる。
 ユーリィ・アレクセーエヴィチ・ガガーリンは、1934年ソ連生まれの宇宙飛行士。
1961年に宇宙船ボストーク1号にて、世界初の有人宇宙飛行を行った人物。
その際に「地球は青かった」と述べたとされる。
 犬養毅は、1855年現在の岡山県生まれの政治家で、第29代内閣総理大臣の他、
文部大臣、逓信大臣などを歴任した。1932年5月15日の日曜日、総理公邸で静養中、
海軍の青年将校、陸軍の士官候補生が押し入り、彼を射殺するという、
五・一五事件が発生した。その際、射殺される前に「話せば分かる」と言ったとされる。
 アルベルト・アインシュタインは1879年ドイツ生まれの理論物理学者。
特殊相対性理論、一般相対性理論など、物理学の分野で驚異的な業績を残している
ことから、20世紀最高の物理学者とも称される。作中で紹介されている、
「いいジョークは何度も言わないほうがいい」の他にも、「常識とは、18歳までに
身に着けた偏見のコレクションのことをいう」「愚者と天才の違いは、天才には
限度があるということだ」など多くの名言も残している。
 あの宇宙人は、1982年に公開された、アメリカのSF映画「E.T」に登場する
地球に取り残された宇宙人を指す。彼は地球の少年と交流を深めるが、
ラストシーンでは、迎えに来た宇宙船に乗って帰っていく。「E.T.おうちに帰りたい」
は、地球の言葉を覚えていく中で、彼が発した言葉。

 

◆テカポ湖 

 ニュージーランドの南島にある湖で、氷河が削った岩石が溶け込んでいること
から、青緑色をしている。作中では、一仕事を終えたあとで、久遠が
ここでゆっくりすると語っている。

LakeTekapoNZ.jpg
「テカポ湖」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2017年12月24日 7:31 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

◆黒くて大きなモニュメント

 1968年に公開されたアメリカのSF映画「2001年宇宙の旅」に登場する
モノリスを指すと思われる。モノリスは、材質不明の黒い四角柱状の物体で、
映画冒頭、原始時代の地球にあり、近寄る猿人たちの進化を促す場面が
描かれている。そのモノリスが、月で発見されたところからストーリーが始まる。
 作中では、銀行強盗時恒例の響野の演説で、「人と動物を区別したのは、
火の発見であるとか、道具を使うようになったからであるとか、
黒くて大きなモニュメントに触ったからであるとか」という下りがある。

 

◆恐怖新聞

 つのだじろうが、1973年から75年にかけて週刊少年チャンピオンで連載していた
漫画作品。1回読むごとに100日寿命が縮まるとされる恐怖新聞を巡る
ホラー作品。恐怖新聞には超常現象や未来の出来事についての記事が掲載されている。
 作中で、久遠と響野が筒井良子が軟禁されているビルへ潜入した際に、
疑われたらこの新聞の勧誘だと答えようと二人が話す場面が登場する。当然ながら、
怪しいと思われたのか馬鹿にされたと思われたのか、そう答えた久遠はあっさり
捕まってしまった。また、久遠はこの漫画にうるさいという記述もあり、
そもそも勧誘するものじゃないとも語っている。

 

◆ガブリエルカッソ

 作中で、「軟禁」の辞書的説明をしている部分で、彼の映画作品「抑圧」
の台詞が引用されているが、実は架空の人物。同じ作者の「グラスホッパー」
でも登場する。

 

◆グノーのアヴェマリア

 作中で、良子と久遠が監禁されていた部屋へ侵入した際に、
響野が口ずさんだ曲。同じような場面では過去にはシューベルトのアヴェマリア
を口ずさむ場面が多かったがここではグノーのアヴェマリアだった。
 シャルル・フランソワ・グノーは、1818年フランス・パリ生まれの作曲家。
「フランス近代歌曲の父」と呼ばれ、代表作に、バチカンで国歌に準ずる曲と
されている「賛歌と教皇の行進曲」など。
「アヴェマリア」は、1859年の作品で、J.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」
の前奏曲 第1番 ハ長調にアヴェマリアを歌詞として付けた声楽曲。

 

ストーリー上の謎、ネタバレ

◆筒井良子の誘拐事件について

 誘拐をしたのは、小西と太田の二人組。小西の父親が経営していたドラッグストアが
筒井ドラッグに潰されたことを恨んでの犯行だった。しかし、彼らはさらなる巨悪、
鬼怒川たちにその動向を探られており、いざ身代金の受け渡しというタイミングで、
良子(と久遠)を奪われてしまう。鬼怒川は筒井との繋がりもあったが、
娘を手に入れると小西らの代わりに身代金の要求を始める。
 成瀬らは、小劇場シアターCのオーナーの伝手で、
鬼怒川が運営する裏カジノへ侵入し、二人の救助を試みるが、情報が漏れており、
鬼怒川の部下に追い詰められる。そこへ、奥谷奥也が所属する劇団員が、
柔道着を着て現れ、響野と久遠を助ける。実は、事前に鬼怒川と仲良くなっていた
成瀬が情報を漏らし、そして、二人を助けるところまで手配をしていたのだった。
 こうして鬼怒川の信頼を得た成瀬は、鬼怒川を安全な海外に逃がすという名目で、
こっそりと彼のカバンにドラッグを忍ばせた上で、
「麻薬に異様に厳しい」南米の国へ行かせ、二度と帰ってこられないようにしたのだ。

 

<次回作>

 

 

 

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