調べたくなる言葉
◆中国の故事でいえば、蛇の絵に足を描き足した、あの男と同じ失敗だ
「蛇足」は、中国の古典「戦国策」に見られる故事。数人の召使たちが、
一番早く蛇の絵を描いた者が酒を飲むことにした。ある男が一番早く絵を描いたが、
余裕を見せて足を描こうとしたところ、二番目に描き終えた男に、
足を描いたらそれは蛇ではないと言われて、酒を飲まれてしまったという話。
上記エピソードから、不要、余計なものの意味。
作中では、妻が行くキャンプを山に行くか、海に行くか忘れてしまっていた兜だが、
運良くその話題が流れたにも関わらず、たまたま目にした「山の四季 野草と花」
から「山」だと早合点ししたため、怒られるというエピソードが登場する。
◆ベニスの商人
イギリスの劇作家、ウィリアム・シェイクスピアの喜劇。
作中で紹介されている通り、主人公のアントーニオが強欲なユダヤ商人シャイロック
から、期日までに返せない場合は、肉1ポンドを与える条件で借金をするが、
簡単に返せるはずだったが、全財産を乗せた船が難破し、無一文になってしまう。
そこで、シャイロックはアントーニオの肉1ポンドを切り取ろうとするが、
判事は肉1ポンドを切り取ることは許すが、契約にない血を流すことは許さぬという
判決を下すという話。
作中では、兜が家の庭に出来た蜂の巣について、妻から絶対自分で処理しないでand
この日までには何とかしてと言われていることを医師に話したところ、
このエピソードを話された。
◆ヘレン・ケラー
ヘレン・アダムス・ケラーは1880年アメリカ・アラバマ州生まれの教育家、
著作家。幼いころの病で、視覚と聴覚を失い、話すこともできなくなったが、
7歳のときに出会ったサリヴァン先生の教えにより、話すことができるようになり、
教育を受け、著述家としての人生を歩む。
作中で紹介されているように、ヘレンはサリヴァン先生に、手に水を注がれながら
「water」と手に描かれたことで、水=waterを悟ったというエピソードが有名。
◆古山高麗雄
1920年朝鮮生まれの作家。太平洋戦争への従軍経験を基にした小説を多く残した。
作中では、テスト問題に出ていて気に入った克巳が兜に勧めた書籍。
紹介されているのは、巻末の引用飼料から「プレオー8の夜明け」と思われる。
ストーリー上の謎、ネタバレ
◆作中の登場人物
・医師…仲介業者。兜や奈野村に仕事を仲介している。長らく業界で力を持っていたが
兜の死後10年後の時点では、力を失い、自ら動いたことでボウガンの
餌食となった。
・桃…情報屋。「グラスホッパー」に登場した「蝉」、「マリアビートル」に
登場した「蜜柑」と「檸檬」がお気に入りだった。本作では、兜のことも
お気に入りと話していた。
・槿…押し屋。グラスホッパーでは、寺原の長男を押し、マリアビートルでは、
王子の手先で、木村雄一の息子、渉を狙っていた人物を押した。
本作では、兜が医師を押すよう依頼したが、医師が兜の呼び出しに
応じなかったため、出番が無かった。
・スズメバチ…殺し屋。元々は男女ペアで活動していた。グラスホッパーでは、
寺原を殺し、マリアビートルでは、峰岸を殺したが女を失った。
本作では、兜を狙ったが会えなく敗退。
◆E2事件
前作、「マリアビートル」で描かれた事件。別の箇所で「以前、東北新幹線から
スーツケースを持ち出すだけの簡単な仕事を引き受けた男が、延々と車両から
降りられず、死体がいくつも出来上がるややこしい事態に巻き込まれたという話」
を思い出して兜が気を引き締める場面が登場するが、
同じ事件を表している。また、簡単な仕事を引き受けた男が、
「マリアビートル」の主人公、天道虫こと七尾。
◆克巳が出会ったクリーニング店主
10年前、兜を(結果的に)始末したことで、業界を抜けることができた(と思われる)
奈野村が正体。「汚い仕事をずっとやってきたので」「何かを綺麗にする仕事を
したかったんです」は名言と思う。克巳に医師が接触したことを心配して、
克巳の背広に発信機を付けた。
◆マンションの鍵と一緒に出てきたチラシ
「キッズパーク開園!」と書かれたチラシ。兜が奥さんの初めて出会った日に、
チラシを配っていた彼女から渡されたもの。兜はずっとそれを取っておいたのだ。
◆AX
斧の意味だが、兜が息子・克巳に語った「蟷螂の斧」のことと思われる。
さらに言えば、強大な力を持つ医師に対してはかない抵抗を試みた兜のことを
表していると思われる。
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