調べたくなる言葉
◆タンクデサント、運鈍根
タンクデサントは、戦車跨乗の意。戦車の随伴歩兵が、戦車に跨って移動したり、
戦闘したりする戦術のこと。
運鈍根は慣用句で、物事を成功させるために必要な、三要素を繋げた言葉で、
その三要素とは、運の良さと、粘り強さと根気を指す。
両単語は、作中で福部が知っている役に立たない語彙の例として登場。
◆エピキュリアン
快楽主義者のこと。元々は古代ギリシャの哲学者、エピクロスの学説を信奉する人の意。
◆フロル
フロルベリチェリ・フロルは、萩尾望都のSF漫画「11人いる!」の登場人物。
「11人いる!」は、1975年に別冊少女コミックに連載された。
文化祭1日目の伊原の衣装。具体的には以下記述参照。
オフホワイトの綿パンに緋色のカーディガン~中略~上着の方に、アクセサリーが付いている。
カーディガンの内には、襟付きの白いシャツを重ね着し、
そして腹まわりにぐるりと太いベルトがまかれていた
ちなみにオリジナルは以下amazonリンク画像の左下にいる人物である。
(適当な画像が無かったので、ベルト見えないけどやむなし)
◆キョンシー
中国の妖怪の一種で、硬直した死体であるにも関わらず、動き回るもののことを言う。
ここでは、キョンシーをモチーフにしたキャラクター・レイレイを指す。
レイレイはカプコンの格闘ゲーム、「ヴァンパイア」シリーズの登場キャラクター。
文化祭1日目の河内の衣装。なぜレイレイと特定できるかと言うと、二日目の
河内の格好を見て「河内先輩はゲームキャラクターでまとめるつもり」という
伊原の言葉があるため。河内の服装の具体的な記述は以下参照。
道教の人たちが着るような服だ。ふっくらとゆとりのある紫のパンツに、
大きく膨らんだ足元まで伸びるような長大な黄色い袖。その袖には、
切り込みが入っていて、横から手を出せるようになっている。
体を覆う服は赤だけど、胸元の生地は色が違っている。
原典ではそこはすっぱりと開いていたはずだけれど、
さすがにそれは再現しなかったらしい。
頭に上広がりの帽子を載せていて、そこから右目の外側あたりに
お札が垂れ下がっている。黄色い帯を巻いているが、
たぶん背中側で大きなリボンになっているのだろう。
ちなみにオリジナルは以下amazonリンク画像参照。
◆カンアミーズとゼアミーズ
漫研の文集の名前だが、元ネタは観阿弥と世阿弥と考えられる。
観阿弥、世阿弥(観阿弥の息子)は共に室町時代の人物で、
親子で能を大成したことで知られる。
◆ライオンは寝ている
文化祭でアカペラ部が最初に歌った曲。
元々は1939年にMbube(ズールー語でライオン)のタイトルで、
南アフリカのソロモン・リンダによって作曲された曲。1961年にアメリカの
ボーカル・グループ、トーケンズがカバーし、全米1位のヒットを記録した。
まんまんまうぇー。
◆ホイール・オブ・フォーチュン
タロットカードの大アルカナの一つ。運命の輪とも。
カード番号は10番。意味は、正位置の場合は、運命の輪が良い方に回っていく
ことを意味する。チャンスや、幸運の到来など。逆位置の場合は、
悪い方に回っていくことを意味する。状況の悪化、衰退など。
作中では、占い研が十文字に盗まれたカード。
◆男装のムエタイ使い
SNKの格闘ゲーム、「竜虎の拳」「ザ・キング・オブ・ファイターズ」シリーズに
登場するキャラクター・キングのことと思われる。
文化祭2日目の河内の衣装。オリジナルは以下amazonリンク画像参照。
◆おマミ
藤子・F・不二雄が漫画雑誌「マンガくん」(小学館)(現・ヤングサンデー)に、
1977年から83年まで連載した漫画、「エスパー魔美」の主人公、佐倉魔美の
ことと思われる。文化祭2日目の伊原の衣装。具体的な装いは以下参照。
「ハート型のブローチ」
「ブラウスにカーディガンを引っ掛け、ハイソックスにフレアスカートという
その辺に転がっていそうな当たり前の服装。コスプレらしいのは、
そのブローチと頭に載せたベレー帽だけだ」
ちなみに、河内の「仁丹は飛ばせるの?」というセリフは、原作で、
ハート型のブローチの先端から、仁丹が飛び出すようになっており、
それを自分に向けて発射すると、魔美はテレポーテーションできるという設定による。
伊原の装いとは異なるが、オリジナルは以下amazonリンク画像参照。
◆メインがAKでサイドがグロック
AK47はミハイル・カラシニコフ設計によるソ連製自動小銃。高い信頼性と、耐久力、
生産性から各地の武装組織、軍隊で使用されている。
グロック17はオーストリアの銃器メーカー、グロック社が1980年代に開発した自動拳銃。
性能の高さからベストセラーとなり、FBIなど各国の警察、軍隊で制式採用されている。
作中の、園芸部のメインがAKで、サイドがグロックという使い方について、
折木は「節操ないことこの上ない」と指摘。
◆アガサ・クリスティ「ABC殺人事件」
1936年に発表された長編推理小説。
クリスティの長編としては、18作目、
名探偵エルキュール・ポアロが登場する作品としては11作目にあたる。
Aから始まる地名(アンドーヴァー)で、Aから始まる人(アリス・アッシャー)が
殺害され、傍らには「ABC鉄道案内」が置かれていた。
同じように、Bから始める地名でBから始まる人が、Cから…と殺人が続く。
◆オリーブの首飾り
1974年にフランスの音楽グループ「ビンボー・ジェット」が発表した、
「嘆きのビンボー」が元の曲。
その後、1975年にフランスの作曲家、ポール・モーリアがオーケストラ・アレンジ
した曲に、「オリーブの首飾り」という邦題が付けられた。
日本では、マジックのBGMとしてよく使われていたことで知られる曲のため、
作中で、奇術部の公演開始時に福部が「音楽が始まった。『オリーブの首飾り』……、
だったら様式美的に面白かったんだけど」と考える場面が登場する。
◆コシュート
コシュート・ラヨシュは、1802年ハンガリー生まれの政治家。
1848年、ハンガリーでパリ二月革命の影響の元、
ハプスブルク帝国からの独立を目指した、ハンガリー革命が起こると、
コシュートはその中心として活躍した。
作中では、伊原の「小姑みたい」と言う発言を、福部が「コシュートみたい」と
聞き間違える場面が登場する。
◆六つのナポレオン
イギリスの推理小説作家、アーサー・コナン・ドイルの短編で、
シャーロック・ホームズシリーズの一つ。
三つ目の短編集「シャーロック・ホームズの帰還」に収録。
ロンドンで、ナポレオン・ボナパルトの石膏像が次々と破壊される事件が発生し、
ホームズがその謎を追うというあらすじ。
作中では、福部が十文字事件の初期に、容疑者の千人の生徒からどうふるいにかけるか?
という問いに対して、「六つのナポレオン」でも、
「最初のナポレオン像が破壊された時点では、誰にも何にも考えることはできなかった」
と引き合いに出している。
◆雉を撃ちに行きたくなった
山用語で、男性が野外で排泄すること。している姿が雉撃ちの猟師に似ていることから。
転じて、単にトイレに行くという意味でも使われる。
作中では、奉太郎が雉を撃ちに行っている間に、姉・供恵が部室を訪れた。
◆鳥を見ると縮む刑事
手塚治虫の漫画作品で、1981年から82年にかけて週刊少年チャンピオンに連載された
「七色いんこ」に登場する刑事、「千里万里子」のことと思われる。
極度の鳥アレルギーを持っており、鳥を見たり、声を聞いたりすると三頭身の姿に
縮んでしまう。文化祭3日目の伊原の衣装。具体的な装いは以下参照。
ポケットがいくつもついたカーキ色のジャケットに人民帽。
オリジナルは以下amazonリンク画像参照。
(いんこの後ろで銃を構えている女性)
◆格闘ゲーム系で中国系といえば元祖ともいえるキャラクター
カプコンの格闘ゲーム「ストリートファイター」シリーズに登場するキャラクター、
「春麗(チュン・リー)」のことと思われる。(ICPOの捜査官という設定)
文化祭3日目の河内の衣装。具体的な装いは以下。
太腿がほとんど付け根まで見えてしまうほどスリットの深い服を着ている。
自作なのかどうかはわからないけれど、
再現度という点ではかなりのものと認めざるを得ない。
手首の腕輪に光るトゲの金属光沢が、万一の事故の不安を煽った。
オリジナルは以下amazonリンク画像参照。
◆ネルソン
ホレーショ・ネルソンは、1758年イギリス生まれの海軍軍人。
ナポレオン戦争で活躍し、トラファルガーの海戦ではイギリス海軍司令官として、
フランス海軍を撃破したことで、ナポレオンによるブリテン島侵攻を阻止した。
イギリス最大の英雄とも言われる。
彼が、トラファルガー海戦開戦直前に信号旗を用いて兵士たちを鼓舞した言葉、
“England expects that every man will do his duty”
は現在でも名文句として知られる。
作中では、福部が伊原に「期待」するとはどういうことかを説明する際に引用した。
ストーリー上の謎、ネタバレ
◆「わらしべプロトコル」まとめ
文化祭前日の夜、折木奉太郎が姉・供恵からもらった壊れた万年筆から
はじまったわらしべプロトコルを以下にまとめる。
1.壊れた万年筆(貰った相手:折木供恵)
2.ワッペン(被服研ショーの優先券)(交換した相手:被服研のパンク)
3.グロック17(水鉄砲)(交換した相手:園芸部の二年生)
4.小麦粉(薄力粉)(交換した相手:製菓研究会の二人組)
5.ハート型のブローチ(エスパー魔美)(交換した相手:伊原)
6.夕べには骸に(交換した相手:折木供恵)
◆タイトルの意味
「クドリャフカの順番」は、「安心院鐸玻」による第二作目となるはずだった作品名。
(一作目は前年の文化祭で発売された「夕べには骸に」)
クドリャフカは、1957年にソ連が打ち上げた人工衛星に載せられた犬の名前。
雌のライカ犬(犬の名前がライカと言う説も)で、ロシア語で「巻き毛ちゃん」
という意味。
◆安心院鐸玻の正体とは?
「夕べには骸に」の作者。一人の人物ではなく、原作・安城春菜、
作画・陸山宗芳、アシスタント?・田名辺治朗の3人からとったペンネーム。
「あじむ たくは」は、「あんじょう はるな」「くがやま むねよし」
「たなべ じろう」の苗字と、名前の一文字目を組み合わせた名前。
◆十文字事件の犯人とその目的は?
まずは、十文字事件で被害を受けた部活とその盗まれたものをまとめてみる。
1.アカペラ部 - アクエリアス
2.囲碁部 - 石
3.占い研 - 運命の輪
4.園芸部 - AK47(水鉄砲)
5.お料理研 - おたま
6.壁新聞部 - カッターナイフ
7.奇術部 - キャンドル
8.??? - ???
9.軽音部 - 弦
10.古典部 - 校了原稿
作中でも語られている通り、クリスティのABC殺人事件になぞらえて、
「あ」から始まる部活からは「あ」から始まるものが盗まれている。
また、十文字という名前から「こ」までの部活がターゲットとして考えられる。
しかし、「く」については、該当する部活が出てこなかった。
(福部は「グローバルアクトクラブ」と読んで見張っていたが空振りに終わった)
それはなぜか?
「く」がつく存在からは、改めて盗むまでもなく、
「く」から始まるものは既に失われていたからだ。
つまり、(色々端折って結論を言うと)陸山宗芳からは、
「クドリャフカの順番」は既に失われているということ。
ただし、折木は姉のおかげで真実にたどり着けたが、普通は上記のようには解読できない。
「クドリャフカの順番」の筋立てを知っている人間を除いては。
では、該当人物は誰か。もちろん、安心院 鐸玻の3人、安城、陸山、田名辺が該当する。
この中で、「く」から始まる人物は生徒会長・陸山宗芳のみ。
そして、犯人は、文化祭に来ていない安城ではありえないため、残った田名辺となる。
それでは、田名辺はこの事件で何をしたかったのか?
陸山に「お前は『クドリャフカの順番』を読んだのか?」ということを伝えたかった。
つまり、読んでいれば、陸山は田名辺が起こした事件を解読し、
「クドリャフカの順番」を失われさせたくない、田名辺の伝えられない思いを知って、
アクションを起こすのではないかという期待をかけたのだ。
(が、結果的には、陸山は原作を読んでおらず、メッセージは伝わらなかった)
<続編>
コメントを残す