「涼宮ハルヒの溜息」の謎・ネタバレ

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本作は「涼宮ハルヒ」シリーズの第2作目。
キョンとハルヒ高校1年生の11月の出来事が描かれている。

調べたくなる言葉

◆エネルギー準位、量子飛躍

 エネルギー準位とは、量子力学の用語で、原子や分子、原子核などの系が
持ちうるエネルギーの値を並べたもの。エネルギー保有値は、同じ系でも
固有値を取らないが、系によってばらつきの範囲は定まっている。
 一方、量子飛躍(量子跳躍とも)は、原子内の物理現象の一つで、

原子内の一つの電子がある量子状態から別の状態へ不連続的に変化することである。
その電子は、一時的に重ね合わせ状態にあった後、
あるエネルギー準位から別の準位へ非常に短時間で「跳躍」する。

「量子跳躍」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2013年4月17日 3:41 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 つまり、長門はクラブ対抗リレーにおいて、量子飛躍の原理を使って、
あるエネルギー準位から別のエネルギー準位へ非常に短時間で跳躍するのを
繰り返した結果、「瞬間移動としか思えない走りを見せた」ということかもしれない。

 

◆宇宙星獣

 1974年から75年にかけて放映された特撮テレビ番組「ウルトラマンレオ」
に登場した宇宙星獣ギロを指すのではないだろうか。名前及び同作で、
遊園地の怪獣ショーに紛れ込んでいたところを発見されたというエピソードと、
本作でキョンが「なんなら近所の野良猫を捕まえて檻にでも入れて「宇宙星獣」
とかいう看板を付けた上に見世物小屋を営業しても」という発言が
類似している気がするところから。

 

 

◆アパシーシンドローム

 主として青少年に見られる無気力症候群のこと。作中でキョンはこの病気のごとき
無気力さで部室へ向かうのだった。

 

◆第二次ポエニ戦争でアルプス越えを決意したばかりのハンニバル

 紀元前219年から紀元前201年にかけて、共和制ローマと、現在のチュニジア付近に
存在していた大国カルタゴとの間で地中海の覇権をかけて争われた戦争。
 ポエニとは、ラテン語でフェニキア人を意味する(カルタゴはフェニキア人の国家)。
 この戦争の前半で、カルタゴの名将ハンニバルは、5万の兵と37頭の象をつれて
アルプスを越えてローマへ侵攻し、カンネーの戦いで大勝利を収める。
 文化祭で「SOS団は、もっと面白いことをするわよ!」と言ったハルヒは、
この名将のような迷いのない晴れやかな輝きを放つ笑顔を見せた。

 

◆校舎が変形して海から上がってきた怪獣と戦う

 1993年から94年にかけて放映されたロボットアニメ「熱血最強ゴウザウラー」
を指すと思われる。この作品に登場する恐竜をモチーフにしたロボットは、
とある事情で主人公らが通う小学校の校舎と融合している。作中では、
どういう文化祭だったら面白いと思うのかと問うキョンに対して、
ハルヒが例として挙げた一つ。

 

◆ブエナビスタインターナショナル

 1993年にウォルト・ディズニー・スタジオの日本法人として設立された
映画配給会社。ディズニーやピクサーなどの作品を配給した。2000年に
ウォルト・ディズニー・ジャパンに統合された。作中で「配給元はどこにする気なんだ?
ブエナビスタインターナショナルに知り合いでもいるのか?」というキョンの独白あり。

 

◆一事不再理

 判決が確定した刑事事件について、再度の審理を行わないという刑事手続き上の原則。
作中では、SOS団は文化祭で映画を撮ると決めたハルヒが「これはもう決まったことなの。
一事不再理なのよ! 司法取引には応じないから!」と叫ぶ。

 

◆ドナドナ

 1938年にユダヤ系アメリカ人のショロム・セクンダ(作曲)と、
アーロン・ゼイトロン(作詞)によって作られた楽曲で、
牧場から市場へ売られていくかわいそうな子牛を歌った歌であるため、
スポンサーを募集するために朝比奈みくるを商店街へ連行する際に、
ハルヒが唄っていた。

 

◆タイタニック

 1912年3月31日に竣工し、同年4月15年に氷山に衝突して沈んだ豪華客船。
1997年のジェームズ・キャメロン監督の映画作品など、多くの
芸術作品の題材となっている。作中では、キョンが「あいにく俺は、今年の春から
船体横にタイタニックと書いてある船にうっかり乗り込んでしまったような気分」
と嘆く。

 

◆グロック

 ハルヒが映画作品中でみくるに持たせようと、モデルショップで入手した
モデルガン。元々は自動拳銃。詳細は「クドリャフカの順番」の記事参照。

 

◆コナキジジイ

 子泣き爺は日本の妖怪で、徳島県の山間部に伝わる。老人の姿で、赤ん坊のような
泣き声をあげるとされ、通行人が憐れんで抱き上げると次第に重くなり、
ついには押しつぶしてしまう。作中では、キョンをからかう谷口が
この妖怪のような笑い声をあげる描写がある。

 

◆カエアン製の衣装

 作中で、みくるのウェイトレス姿が異様に似合っていたため、キョンはカエアン製
の衣装かと思ったと独白する場面がある。カエアンは、
イギリスのSF作家、
バリントン・J・ベイリーの1976年の作品「カエアンの聖衣」に登場する惑星国家
の名前で、この国の人々は服は人なりという哲学を持ち、服飾に心血を注ぐ
人々であった。

 

◆モーツァルトにレクイエムを発注しに来たサリエリが出演する映画の楽屋を間違えた

 作中で、部室に魔女衣裳で入ってきた長門を見てビビったキョンは思ったこと。
モーツァルトもサリエリも共に18世紀後半のウィーンで活躍した音楽家で、
サリエリはモーツァルトの才能に嫉妬し、対立したエピソードで知られている。
 そのサリエリを主人公にした映画が1984年に公開されたアメリカ映画「アマデウス」
であり、この映画はアカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞など8部門を受賞した。

 

◆トルコ行進曲

 作中で、ご機嫌なハルヒが映画の配役を発表する際に鼻歌で奏でていた楽曲。
1783年ごろにモーツァルトが作曲したピアノソナタ第11番 イ長調のうちの
第3楽章のことと思われる。

 

◆アンダースタディ

 主要な役を演じる俳優の不慮の事故に備えて、その役の稽古をし、
予め待機している控えの俳優を指す。作中では古泉がキョンに向かって、あなたに
アンダースタディはいないと話す場面が登場する。

 

◆大脱走のテーマ

 1963年に公開されたアメリカ映画。ジョン・スタージェス監督、
スティーヴ・マックイーン主演のこの映画は、アカデミー賞編集賞にノミネートされた。
 第二次世界大戦中にドイツ軍の捕虜となったアメリカ軍兵士たち76名が脱走に
成功するが、その後捕まったり、殺されたりする、無事逃げおおせたりする
運命を描いた作品。作中で、撮影開始前日に様々な宿題をキョンに押し付けた
ハルヒが帰るときに口ずさんでいた曲。本作では映画にまつわる音楽やエピソードが
とても多い。ちなみにサントリーの「胡麻麦茶」のCMでも使われている。

 

◆ゴールデングローブ賞

 アメリカ合衆国における映画、テレビドラマに与えられる賞で、
ハリウッド外国人映画記者協会の会員の投票で決定される。
毎年1月に発表されるため、2月に発表されるアカデミー賞の前哨戦として注目される。
 作中では、ウェイトレス姿で学校から出ることに抵抗するみくるに対して、
ハルヒはそんなことではこの賞は狙えないと叱りつける。

 

◆「天国と地獄」のサビ

 1819年ドイツ生まれの作曲家、ジャック・オッフェンバックが1858年に制作した
オペレッタ「地獄のオルフェ」(日本では初演時の「天国と地獄」という名称で
知られる)のうちの特に有名な序曲第3部を指すと思われる。日本では、
運動会で流される曲として非常に有名。作中では、撮影開始1日目でご機嫌な
ハルヒが移動中にハミングしていた曲。

 

◆ゴールデンラズベリー賞

 ゴールデンラズベリー賞財団の会員の投票によって選ばれるアメリカの映画賞で、
アカデミー賞授賞式の前日に「最低の映画」に授与される。作中では、ハルヒの杜撰な
撮影の進め方を見たキョンがこの賞へのノミネートを狙っているのか?と突っ込む
シーンが登場する。

 

◆「ロッキー」のテーマ

 1976年公開のアメリカ映画。監督ジョン・G・アヴィルドセン、
主演、脚本シルベスター・スタローンによるこの映画は、アカデミー賞作品賞、
編集賞、監督賞を受賞している。素質はあるが努力をしない三流ボクサーの
ロッキー・バルボアがひょんな成り行きからタイトルマッチに出場することに
なったのをきっかけに、周囲の人々の協力を得て努力を開始し、チャンピオンに
挑むという話。作中では、CM撮影を行った日、帰宅するハルヒがこのテーマを
口ずさんでいた。

 

◆単独で出現したホイミスライム

 作中で、キョンが谷口と国木田の二人を評した例え。ホイミスライムは
スクウェア・エニックスが発売するRPGゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズに
登場するモンスター。回復呪文であるホイミを使用するため、他のモンスターと
一緒に出現した際には厄介な存在だが、攻撃力は高くないため、
単独で出現した場合には大きな脅威とはならない。そんな存在。

 

◆風車に槍を投げているような虚しさ

 スペインの作家、セルバンテスの小説「ドン・キホーテ」の主人公、
ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャの奇妙なエピソードの一つ、
風車を巨人と勘違いして襲い掛かったが無為に終わったことを念頭に置いた
キョンの発言。

 

◆バミる

 演劇やテレビ業界の用語で、出演者が立つ位置や道具を置く位置に、
予めビニールテープなどで目印を付けることをいう。

 

◆コヒーレント光

 干渉しあう性質を持つ光のこと。位相と周波数が同じ光を重ね合わせると
単独の光強度の合計より強い光となる(=干渉)。作中で、ミクルビームが
「高い指向性を持つ不可視帯域のコヒーレント光」であったと長門が説明する。

 

◆レーザーでもメーサーでもマーカライトファーブでも

 みくるが目から出したものについて、キョンが「ビーム」と表現したところ、
長門に否定されたあとでの独白。レーザーは、光(電磁波)を増幅し、
コヒーレント光とされた光線のこと。メーサーは、レーザーとコヒーレントな
電磁波だが波長が短いマイクロ波の場合に使う言葉。マーカライトファープは、
1957年に公開された特撮SF映画「地球防衛軍」に登場する兵器の名前で、
キャタピラが付いた移動式のパラボラアンテナ状の光線発射装置から発射される
熱光線のこと。

 

◆インノケンティウス三世時代のローマ教皇権のように侵しがたいもの

 傍若無人に撮影を続けるハルヒの自由はこの教皇権のように侵しがたいものだそうだ
とキョンが嘆く。インノケンティウス三世は第176代教皇で、1198年から1216年まで
教皇の地位にあった。この時代に教皇権力は絶頂を迎え、破門をちらつかせて
(ときには実際に破門して)西欧諸国の政治に介入した。
(神聖ローマ皇帝・オットー四世、イングランド王・ジョンなどが破門された)
 彼の言葉として「教皇は太陽、皇帝は月」が有名。

 

◆マリリン・マンソンの「ロック・イズ・デッド」

 マリリン・マンソンは1969年生まれのアメリカのミュージシャン。
ロックバンド「マリリン・マンソン」のリードヴォーカル。セカンドアルバム
「アンチクライスト・スーパースター」以降、反キリスト教のイメージが定着。
 「ロック・イズ・デッド」は、1999年発表の楽曲で、撮影一日目の帰り際に、
ハルヒは明日も「時間通りに来るのよ。来ない人は死刑の上に死刑だからねっ!」
と宣告し、この歌を口ずさみながら帰宅するのだった。

 

◆パサードラムジェット

 ラムジェットエンジンは、ジェットエンジンの一種で、吸入した超音速気流を
ラム圧(吸気した際の空気抵抗)によって圧縮し、高速まで減速した上で
燃料を噴射し燃焼させる。そのときの反動で推進力を得るというエンジン。
パサードラムジェットは、宇宙空間にごく微量に存在する水素分子を、
強力な磁場によって集め、推進剤にするというエンジン。
恒星間を移動するためのエンジンとして考え出された。キョンは、
ハルヒにはこのエンジンが搭載されていると語る。

 

◆ネス湖かグレートソルトレイク

 ハルヒは映画のロケで、古泉家近くの溜め池を使ったが、本当は、
このどちらかを使いたかったと放言した。
 ネス湖は、イギリス スコットランド北部のハイランド地方にある、
イギリス最大の淡水湖。かつてネッシーと呼ばれる未確認生物がいるとされた。
 グレートソルトレイクは、アメリカ ユタ州北部にある塩水湖で、
湖畔には州都のソルトレイクシティがある。塩分濃度は海水よりも高いため、
ほとんど生物は棲息していない。
(アルテミアと呼ばれるエビみたいな節足動物のみ棲息)

 

◆生後すぐに天地を指して八文字熟語を絶叫した

 キョンがワガママ独壇場のハルヒを指して、五百年後には涼宮ハルヒ語録の一つ
として本項の発言が流布されているかもしれないと語る。
 元々は釈迦誕生時のエピソード。釈迦は生まれてすぐに七歩あゆみ、右手を上に、
左手を下に向けて八文字熟語、天上天下唯我独尊と言ったとされる。

 

◆ブライアン・アダムスの「18 till I die」

 ブライアン・アダムスは1959年カナダ・オンタリオ州生まれのミュージシャン。
代表曲は映画「ロビンフッド」のテーマ曲「(Everything I Do) I Do It for You」
で、7週連続全米1位を記録した。
「18 till I die」は、1997年発表の楽曲で、作中で溜め池から鶴屋家へ向かう途中で
ハルヒがこの曲のサビだけをリフレインして歌っていた。

 

◆シャミセン

 ハルヒが見つけた言葉を話す雄の三毛猫に付けた名前。
キョンはその名前を「不吉な命名」と呼んだが、元々、三味線は猫の
皮が張られていたため。

 

◆「ブレードランナー」のエンディングテーマ

 ブレードランナーは1982年公開のアメリカ映画。フィリップ・K・ディック
のSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」が原作。リドリー・スコット監督、
ハリソン・フォード主演のこの映画は、アカデミー賞視覚効果賞、美術賞にノミネート。
 21世紀初頭、遺伝子工学によって生まれた人造人間レプリカントは、
奴隷労働に従事させられていた。彼らは時として過酷な環境から逃亡を試みるが、
その彼らを見つけ次第射殺する任務を負うのがブレードランナーである。
ブレードランナーの一人、リック・デッカートが本作の主人公である。
 作中では、シャミセンを拾った日の帰宅時にハルヒがはこの曲をハミングしていた。

 

◆ライフルダート

 金色のコンタクトレンズを付けたミクルの目から放出されたもの。
ライフルから発射されるダート(矢)のこと。

 

◆リョコウバト

 20世紀に絶滅した大群で移動する鳩。詳細は「オーデュボンの祈り」の記事参照。
作中では、神社の土鳩が白い鳩になった数日後にこの鳩に変化した。

 

◆ハムレットのギルデンスターン

 ギルデンスターンは、ウィリアム・シェイクスピアの悲劇「ハムレット」の
登場人物で、主人公ハムレットの幼馴染だが、王の命で、ハムレットの
奇行の原因を探る。作中で、古泉がクラス劇で演じることになった
「ストッパード版」とは、イギリスの劇作家サー・トム・ストッパードが
1966年に制作した戯曲「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」のこと。
シェイクスピアのハムレットでは端役だった彼らを主役とした喜劇であり、
そのため、古泉の出番が増えてしまったのだ。

 

ストーリー上の謎、ネタバレ

◆映画の撮影で起きたこととは

 ハルヒがこうあって欲しい、こうだったら面白いと思ったことが、
フィクションの枠をぶち壊して現実になってしまった。具体的には以下の通り。

・みくるの目からカラーコンタクトの色に応じて、青=レーザー、
 銀=超振動性分子カッター、金=ライフルダート、緑=マイクロブラックホール
 が放出された。
・撮影に使った神社にいた土鳩が全て真っ白な鳩に代わっていた。そして
 その後にはリョコウバトに代わっていた。
・秋なのに桜が満開に(次の日には散っていた)
・猫が喋った
・誰も何もしていないのに映画が編集された

 

◆解決法

 フィクション化してしまった世界を元に戻したのは、キョンが映画のエンドで
ハルヒに言わせた言葉。

「この物語はフィクションであり実在する人物、団体、事件、その他の固有名詞や
現象などとは何の関係もありません。嘘っぱちです。どっか似ていたとしても
それはたまたま偶然です。他人のそら似です」

 

<次回作>

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