「涼宮ハルヒの憂鬱」謎・ネタバレ

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本作は「涼宮ハルヒ」シリーズの第1作目。
キョン、ハルヒ高校1年生4-5月の出来事が描かれている。

 

調べたくなる言葉

◆でっかい透明なエンドウ豆のサヤに入れられている少女

 1911年アメリカ・ウィスコンシン州生まれのSF作家、ジャック・フィニイ
が、1955年に発表した長編「盗まれた街」を念頭に置いた、キョンの独白。
 豆のサヤから出現した宇宙人が、人々に気づかれない間に、人間に
すり変わっていくという宇宙人の静かな侵略を描いた作品。

 

◆一九九九年に何が起こるわけでもなかった

 かつて日本で流行した、1999年7の月に恐怖の大王が降臨し、
人類が滅亡するという説に基づくキョンの独白。1503年、フランス・ルネサンス期の
占星術師、詩人であるミシェル・ノストラダムスが1555年に発表した詩集、
「ミシェル・ノストラダムス師の予言集」の記述が元になっている。
 この予言集にある難解あ文言をそれっぽく解釈した1973年の五頭勉の著作
「ノストラダムスの大予言」がベストセラーになったことが日本で広まった要因。

 

◆アルファケンタウリ

 ケンタウルス座のアルファ星で、一等星。太陽から約4.3光年の距離にある
最も近い恒星系であるため、作中でキョンは「俺が生きてる間に
アルファケンタウリまで日帰りで往復できることもこのぶんじゃなさそうだ」という
独白をしている。

 

◆プレシオサウルス

 中生代三畳紀後期から、ジュラ紀前期にかけて棲息していた首長竜属首長竜目
プレシオサウルス科に属する海棲生物。体長は2-5m程度で、発見当初は爬虫類に近い
生物だと考えられたため、プレシオサウルス=爬虫類に近似したという名前が
付けられた。作中では、キョンが「運命なんてものを俺は琵琶湖で生きた
プレシオサウルスが発見される可能性よりも信じていない」という形で名前を出している。
(ちなみに絶滅したとされるジュラ紀前期は約1億8000万年前)

 

◆高度に発達した科学は魔法と見分けがつかない

 ハルヒが人と長い会話をしているのを見たことが無かった谷口が、
それを成し遂げたキョンに向かって「どんな魔法をつかったんだ?」
と投げ掛けたが、その際にキョンが頭の中で思い浮かべていた警句。
 イギリス出身のSF作家、アーサー・C・クラーク(代表作に2001年宇宙の旅など)が
定義したクラークの三法則の一つ。残りの二つは、以下の通り

・高名で年配の科学者が可能であると言った場合、その主張はほぼ間違いない。
 また不可能であると言った場合には、その主張はまず間違っている
・可能性の限界を測る唯一の方法は、不可能であるとされることまでやってみることである

 

◆刻の涙

 授業中、うとうとしていたところをハルヒによって、突然襟首を鷲掴みにされ、
引っ張られた結果、机の角で頭をぶつけたキョンが目の前に見たもの。
 1985年から86年にかけて放映されたテレビアニメ「機動戦士Zガンダム」の
次回予告を締めくくる言葉。

 

◆MD

 ハルヒがどこかから持ってきたCDラジカセについて、キョンは
「今どきMDも付いていない」と枕詞を付けている。MDとは、
ミニディスクの略で、1992年にソニーが発売した光学ディスクの記録方式
及びその媒体。カセットテープより音が良いという点で代替として
90年代後半から00年代前半頃までは良く使われたが、PCの普及やメモリースティックや
SDカード、USBメモリなどの半導体媒体が安価に普及したことから、
現在では過去の遺物となっている。(ちなみに本作が連載開始されたのは2003年)


「ミニディスク」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2019年7月3日 16:33 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

◆土星のマイナー衛星がおちたとかどうしたとかいうタイトルのハードカバー

 アメリカのSF作家、ダン・シモンズが1990年に発表した長編SF小説
「ハイペリオンの没落」を指すと思われる。同作品の英語タイトルは、
「the fall of hyperion」であり、hyperionは土星の第7衛星でもあるため。
(この作品でのハイペリオンとは別の星)
ヒューゴー賞、ローカス賞、星雲賞といったSF文学に与えられる賞を受賞している。
また、ハイペリオン4部作の2作目である(1作目「ハイペリオン」、3作目
「エンディミオン」、4作目「エンディミオンの覚醒」)
 作中では、長門が読んでいた分厚いハードカバーの一つ。

 

 

◆フェルマーの最終定理

 SOS団とは何をするクラブなのかと問う古泉に対し、キョンは
「フェルマーの最終定理を説明出来たとしてもこればっかりは無理だ」と考える。
 フェルマーの最終定理とは、3以上の自然数 n について、xn + yn = zn となる
自然数の組 (x, y, z) は存在しない、という定理のことである。(nは指数)
 フェルマーは1607年フランス生まれの数学者であり、彼は古代ギリシャの
数学者ディオファントスの著作「算術」を読んでこの定理を考え付き、
余白部分に「この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、
この余白はそれを書くには狭すぎる」と書き記した。この定理は1995年、イギリス
の数学者アンドリュー・ワイルズによって証明された。

 

◆三月兎

 イギリスの小説家、ルイス・キャロルの児童文学「不思議の国のアリス」
に登場するキャラクター。英語の言い回しに、Mad as a March hare、
つまり、三月のウサギのように狂っているというものがあり、そこから取られた名前。
 アリスが招待された狂ったお茶会において、アリスに何度もお茶を勧めながら
アリスが手に取ろうとすると遠ざけるなど混乱させるキャラクター。作中では、
長門から借りた本に、待ち合わせを日時を記した栞が挟んであるのを見た
キョンは三月兎のように、部屋を飛び出て階段を駆け下りる。

 

◆ブラジル蝶

 秀才タイプの目立たないタイプだったキョンの従姉妹は、高校を卒業して、
大学に入った途端、サナギから羽化したブラジル蝶のようになってしまった。
 ブラジル蝶は、南米を中心に生息するモルフォ蝶を指すと思われる。
モルフォはギリシャ語で「美しい」を意味するが、その名の通り、
青色の金属光沢を持つ美しい蝶である。

Morpho didius Male Dos MHNT.jpg
「モルフォ蝶」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2017年9月20日 11:42 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

◆プランク定数

 光子のもつエネルギーと振動数の比例関係をあらわす比例定数のことで、
量子論を特徴付ける物理定数である。量子力学の創始者の一人である
マックス・プランクにちなんで命名された。

「プランク定数」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2019年7月6日 5:30 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 とのこと。(ブログ主にはこれ以上の説明は不可能)
作中では、古泉が涼宮ハルヒという存在を説明する際の、大仰な表現に登場した言葉。

 

◆テレーズ人形

 小栗虫太郎が1935年に発表した長編探偵小説「黒死館殺人事件」に
登場する自動人形の名前。テレーズは、事件の舞台となる黒死館の創設者、
降矢木算哲が欧州への留学中に娶った妻の名前。日本へ向かう途中、
ラングーン(現在のミャンマー・ヤンゴン)で亡くなっている。その後、
黒死館には、彼女を模した自動人形が置かれた。作中では、ノックをして部室に
入ったキョンを、この人形のようにちょこんと座った朝比奈が出迎えたと表現されている。

 

◆フロイト先生

 ジークムント・フロイトは1856年当時のオーストリア帝国生まれの
精神分析学者、精神科医。精神分析学の創始者として知られ、
人間が意識していない「無意識」を取り扱った。主な著作として、
「精神分析入門」「夢判断」があり、そのため、作中で、
「見知った女と二人だけの世界に紛れ込んだあげくにキスまでしてしまう」
という「夢」を見たキョンは、「フロイト先生が爆笑しそう」
だと思い、恥ずかしくなったのである。

 

ストーリー上の謎、ネタバレ

◆涼宮ハルヒとは

 宇宙人の長門有希曰く「自律進化の可能性を秘めて」おり、
そして「自分の都合の良いように周囲の環境情報を操作する力がある」
 未来人の朝比奈みくる曰く、3年前に発生した時間の歪み(それより過去に遡れない)
の中心におり、「時間を歪曲させている時間震動の源」
 そして、超能力者の古泉一樹は、「世界を自らの意志で創ったり壊したり出来る
存在」つまり、神であると定義している。
 さらに、彼らの存在自体がそもそもハルヒが望んだために生じたのだ。つまり、
「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者
がいたら、あたしのところに来なさい」である。とすると、唯一の一般人の団員と
思われるキョンも「ただの人間」ではないのかもしれない。残っている役どころは
異世界人だが…。

 

◆白雪姫

 本作終盤で、ハルヒとキョンが閉じ込められた新しい時空から、元の世界へ
帰還するためのキーワード。大人朝比奈が「これからあなたが何か困った状態に
置かれたとき」思い出してほしい言葉として提示され、実際に困ったときに、
パソコン経由で長門に「sleeping beauty」とだけ伝えられた言葉。
 その意味するところは、白雪姫では、毒リンゴを食べて息絶えた白雪姫が
王子様のキスで目覚めるところから、ハルヒにキスをしろとキョンに迫っているのである。

 また、そもそもなぜハルヒは「新しい時空」を創造してしまったかという問題だが、
(実際には不思議で満ちていたにも関わらず)いくらパトロールをしても、チラシを
配って募集しても不思議が全く見つからず、世界を不満に思ったため。
 では、なぜキョンのキスで元の世界を復活させた=元の世界も良いと感じたかだが、
そのまま解釈すると、キョンが「反則なまでに似合ってた」と話したポニーテールで
登校したことから、キョンの行為が嬉しかったとなるが、そんな単純でいいのだろか?

 

<次回作>

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