「涼宮ハルヒの動揺」の謎・ネタバレ

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涼宮ハルヒの動揺 (角川スニーカー文庫)

本作は「涼宮ハルヒ」シリーズの第6作目。
ライブアライブ、朝比奈ミクルの冒険Episode00は、キョンとハルヒが高校1年生11月の、
ヒトメボレLOVERは12月、猫はどこに行った?は12月~1月の
朝比奈みくるの憂鬱は1月の出来事が描かれている。

 

調べたくなる言葉

◆アクエリアンエイジ

 文化祭での朝比奈・鶴屋クラスの出し物(焼きそば屋)で、男子が
皆、女子の使い走りになっている様子を見てキョンは表題がすぐそこまで
迫っていると独白した。アクエリアンエイジ=水瓶座の時代とは占星術の用語で
春分点が水瓶座のエリアに入る約2,000年間を指す。前の時代である魚座の時代は
概ねイエス・キリスト誕生以降の時代を指し、その特徴としては、人類が
物質だけでなく、精神的なものを重視し始めた時代であること。
 水瓶座の時代は、精神がさらに重要視されるようになり、また、
個が確立し、人道的社会が実現する時代であるとされている。

 

◆マーク・ノップラーかブライアン・メイか

 文化祭にて超絶技巧のギターテクを披露した長門に対して、
キョンがこの二人かと思ったと評した。
 マーク・ノップラーは1949年イギリス・スコットランド生まれのギタリスト。
ロックバンド、ダイアー・ストレイツやソロで活躍した。代表曲に
バンド時代の「Sultans Of Swing」(収録アルバムは全米2位を記録)、
ソロの「Speedway At Nazareth」(収録アルバムは世界各地でトップ10入り)など。

 ブライアン・メイは、1947年イギリス・ミドルセックス州生まれのギタリスト。
ロックバンド、クイーンのギタリストとして知られる。代表曲は、
「Bohemian Rhapsody」「We Will Rock You」など。

 

◆セイレーン

 作中で、ハルヒと長門のパフォーマンスに接したライブ会場が「まるでオンボロ船
の甲板でセイレーンの歌声を聞いた船員のよう」とキョンは評した。
 セイレーンは、ギリシャ神話に登場する海の怪物であり、上半身が人間で
下半身が魚であるとされた。海の航路上の岩礁から美しい歌声を響かせ、
 近くを通りがかった船の船員を惑わせ、遭難や難破させる。

 

◆グレイタイプのエイリアンを連行するみたいに

 ハルヒと長門が代打参加したバンドのボーカル兼ギターが病院に連れていく様を
ハルヒが表現した言葉。グレイタイプのエイリアンとは、主にアメリカで目撃例
が多くあるタイプの宇宙人像。特徴としては小柄な人間くらいの身長に、
大きな頭部と大きな吊り上がった目、小さな鼻、口などが挙げられる(下図参照)


「グレイ」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2019年9月30日 6:53 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

また、ハルヒが言う、連行の場面は有名な以下写真を念頭に置いていると思われる。
両脇の将校に囚われられた宇宙人として有名となった写真だが、
のちにフェイク写真であると判明した。(元々、エイプリルフールのネタであり、
翌日にはネタばらしもされたが、そちらは広まらなかった)

 

 

◆戦艦長門

 作中でキョンが中河に長門のフルネームを説明する際に使用。
戦艦長門は、1920年に竣工した旧日本海軍が保有した戦艦。
完成当時世界最大の戦艦(224.94m)であり、最大口径(16.1インチ)の
主砲を備えていた。連合艦隊の旗艦を長く務め、第二次世界大戦終戦まで
航行可能な状態で生き残ったが、米軍に接収後、核実験の標的となり沈没した。
 姉妹艦の陸奥、イギリスのネルソン、ロドニー、アメリカのコロラド、
メリーランド、ウェストバージニアと共に、世界のビッグ7と称された。


「長門(戦艦)」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2019年12月16日 18:25 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

◆ハイブロウ

 中河がキョンに長門の魅力を説明する際に使用した言葉。キョンはあとから
辞書で引こうと考えていたが、結局引かなかったのでここで説明する。
 ハイブロウは英語でhighblow。意味は以下の通り。

教養や学識のある人。知識人。また、知的で趣味がよく高級であるさま。
(「デジタル大辞泉」https://daijisen.jp/digital/)

 

◆エントロピーは増大する

 部室に物がどんどん増えていることをキョンはこの言葉を使って表現した。
エントロピーは19世紀にドイツの物理学者クラウジウスが熱力学の分野で導入した
概念で、統計学や情報理論の分野などにも応用されている。
無秩序な状態の度合いを表す指標。エントロピーは増大するとは、
自然の状態においては、エントロピーは低い方から高い方へ変化していくという
エントロピー増大則で説明される。
 エントロピーが低い状態とは秩序があり、整然としている状態であり、
高い状態とは無秩序で雑然としている状態ということができるが、
ここでキョンが言いたかったのはこういうことだと思われる。

 

◆ウェストハイランドホワイトテリア

 作中で、中河が長門との未来を語る中で、飼っている犬種として登場。
ウェストハイランドホワイトテリアは、スコットランド原産、白一色の被毛を
持つ小型のテリア。

West Highland White Terrier Krakow.jpg
「ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2019年12月28日 15:43 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

◆トゥームストーンパイルドライバー、犬神家のスケキヨ

 アメフトの試合中に頭から落下した中河の姿をキョンが表題のように形容した。
トゥームストーンパイルドライバーは、パイルドライバー(相手の頭を自身の両足で
挟み、後ろに倒れ込んで、相手の頭部を打ちつけるプロレス技)の一種。
 トゥームストーン~は日本名を墓石落としと言い、相手の胴体を抱えて立ち、
そのまま膝を折ることで相手の頭をマットに叩きつける技。 


「パイルドライバー」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』から、
ジ・アンダーテイカーによるツームストン・パイルドライバー
2019年12月13日 9:34 (UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

 犬神家のスケキヨは横溝正史の長編推理小説「犬神家の一族」の登場人物、
犬神佐清のことで、湖で湖面から足を突き出す形(下図参照)という
インパクトある殺され方をされた人物。

 

 

◆赤方偏移

 遠ざかる音がドップラー効果によって低くなるのと同じように、
遠ざかる光源が発する光が長波長(赤い方)に見える現象。
普通は、拡大する宇宙空間において、遠ざかる恒星が発した光について
使われるが、長門なら地球上の救急車が遠ざかる光も赤方偏移しているのが
確認できるのかもしれない。

 

◆中原中也

 中河が長門に自己紹介した際に、「中」の説明に使用した名前。
中原中也は、1907年生まれの詩人で「山羊の歌」などで知られる。
詳細は、「暗黒館の殺人」の記事参照。

 

◆エンジェルズラダー

 エンジェルズラダー(天使の梯子)とは、薄明光線の俗称である。
薄明光線は、雲の切れ間から光が漏れ、柱状の光が地上に降り注いで見える
現象を指す。作中では、長門に惚れた中河が彼女の背後に見たと主張するものの一つ。


「薄明光線」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』
2020年1月4日 7:15(UTC)  URL : https://ja.wikipedia.org

 

ストーリー上の謎、ネタバレ

◆ヒトメボレLOVERにおいて、中河が長門に一目惚れした理由は?

 中河は作中の3年前(ハルヒが情報爆発を起こしたとき)に中河が取得した
能力に原因がある。彼は、3年前に長門を通じて情報統合思念体とアクセスする
超感覚能力を身につけ、長門の背後にある超越的な英知と蓄積された知識を
目の当たりにし、それを長門の後光と認識した。それが、長門に一目惚れした理由。
 その中河に対して、長門はその能力をアメフトの試合中に消去した。
それが、病室で長門を見た中河が一目惚れを勘違いと思った理由。

 

◆「朝比奈みくるの憂鬱」での二人がやったことの意味とは?

 キョンは朝比奈みくるに連れられるままに市中を徘徊した末に、眼鏡の少年を
交通事故から助けることになった。この出来事にはどういう意味があったのか。
 まず、この少年は朝比奈みくるが来た未来が実現するかどうかに重要な人物である
ことが説明されている。また、ハルヒが時々勉強を見ているというのも
関係があることであろう(本編ではこれ以上の説明はないが)。
 一方で、未来人には朝比奈みくるの一派だけでなく、朝比奈みくる的未来を
望まない一派もまた存在しており、その一派が派遣した刺客が
「モスグリーンのワンボックスカー。殺意に満ちた暴走」である。
 朝比奈みくるにはそれを阻止する指令が出ていたものの、具体的に何が起きて
自分が何をするのかを全く知らされておらず、そのことで彼女は落ち込む。
しかし、その理由は彼女が未熟だから(もあるかもしれないが)ではなく、
彼女の上司が朝比奈みくる(大)だから。

 

<次回作>

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