「死神の精度」の謎・ネタバレ

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調べたくなる言葉

◆若い大統領が時速十一マイルのパレード用専用車の上で狙撃

 1963年11月22日、アメリカ・テキサス州ダラスで発生した、
時の大統領暗殺事件を指す。殺されたのは当時46歳のジョン・F・ケネディ大統領。
翌年の選挙に向けた遊説中に狙撃された。犯人は、リー・ハーヴェイ・オズワルド
とされるが、当人が事件後直ぐに警察署内で射殺されてしまったこともあり、
今なお、多くの謎が遺されている。

 

◆どこかの少年がルーベンスの絵の前で愛犬とともに凍死

 どこかの少年とは、イギリスの作家、ウィーダが1872年に発表した小説、
「フランダースの犬」の主人公ネロのこと。19世紀のベルギーが舞台の作品で、
老いた祖父、忠犬パトラッシュと共に暮らす15歳の貧乏な少年ネロは、
画家にになることを夢見ており、いつか、アントワープの大聖堂にある、
ルーベンスの絵を見たいと願っていた。しかし、祖父を失い、仕事を奪われ、
放火犯の濡れ衣を着せられ、絶望した彼は最後の力を振り絞って大聖堂へ向かい、
憧れのルーベンスの絵の前で息絶えるという悲しい物語。

 

◆天使は図書館に集まる

 1998年公開のアメリカ映画「シティ・オブ・エンジェル」において、
図書館は天使の憩いの場となっている。人の死を看取り、
天国へ連れていく役目を持つ天使が、人間に恋をするというストーリー。
作中で、千葉が以前、機会があって観たという映画はこれだと思われる。

 

◆キャスリン・フェリア

 1912年イギリス生まれのオペラ歌手。作中にあるように、
電話交換手の職についていた経歴を持つ。

 

◆ストーンズの「ブラウン・シュガー」

 ザ・ローリング・ストーンズについては「グラスホッパー」の記事参照。
「ブラウン・シュガー」は、代表曲の一つで、1971年のナンバー。イントロの特徴的な
ギターリフが印象的な曲で、全米で2週連続1位を記録。
作中では、ヤクザの藤田の好きな曲。

 

◆ロックス・オフ

 1972年に発表され、全米・全英で1位を記録したアルバム
「メイン・ストリートのならず者」への収録曲。
作中では、藤田のマンションに居候する千葉がラジカセで聴いていた曲。

 

 

◆ストリキニーネ

 インドやスリランカなどで生育するマチン科の樹木マチンの種子に含まれている
化学物質で非常に毒性が強い。経口摂取すると筋肉の激しい痛みを生じる。
作中で、真由子が口にしたように推理小説で良く用いられる毒物で、
クリスティの「スタイルズ荘の怪事件」や横溝正史の「八つ墓村」が代表例。

 

◆オリエント急行殺人事件

 「愚者のエンドロール」の記事参照。
作中では、童顔の料理人が勘違いをして「閉鎖された島とかで次々に人が殺される」
作品としてこの作品を挙げていたが、真由子が否定するシーンが登場する。
「閉鎖された~」は、同じクリスティの「そして誰もいなくなった」ではないだろうか。

 

◆誤りと嘘に大した違いはない

 フランスの映画監督ジャン・リュック・ゴダールの1962年の作品にして4作目の長編、
「女と男のいる舗道」の作中に登場する台詞。
作中では、萩原が引用するシーンがある。

 

ストーリー上の謎、ネタバレ

◆「死神の精度」に登場する藤木一恵のその後

 6つの短編の中で、千葉が唯一「見送り」と判断した担当の藤木は、
その後どうなったのか。クレーマーで、一度は千葉によって邪魔をされた
天才音楽プロデューサーによって歌手としてデビューし、
「すごく話題」になる、「恰好いいミュージシャン」
として人々に記憶される存在となった。
そのことは、第6話「死神対老女」にて、老女の店のラジカセで聴いたCDが、
藤木のCDで、上述のような会話が交わされたことからわかる。

 

◆「死神と藤田」に登場する藤田のその後

 この作品は、千葉と阿久津が捕らえられた栗木のマンションに、
藤田がやってくるのを待つ場面で終わる。やってきた藤田は生き残ることができたのか?
死神たちの「調査」の結果、栗木が死ぬのはその日で、藤田は翌日と決まっていた。
そこから、次のような推測ができる。
栗木のマンションに乗り込んだ藤田は、栗木を殺すことに成功した。
しかし、その翌日、栗木の所属する組と、もしかすると藤田が所属する組とに
殺されることになったのだろう。

 

◆「恋愛で死神」に登場する古川朝美のその後

 萩原が身を挺して守った、当時21歳で、映画配給会社に勤めていた彼女は、
その後、「太平洋に面した町にあり、高台から海を見下ろせる」美容院で、
美容師となっている。つまり、第6話「死神対老女」に登場する、
「老女」が彼女だった。そのことは、ゴダールの「女と男のいる舗道」からの
引用の台詞と、萩原が勤めていたブティックで買ったジャケットを
ずっと持っていたらしいという千葉との会話から明らかにされる。
また、この話では、新田を名乗っているので、結婚四年目、34歳
のときに交通事故で亡くした夫が新田さんだったのだと思われる。
さらに、竹子の台詞で老女が「あの店をはじめたの二十年前くらい」とあるので、
50歳頃までは、映画配給会社に勤め続けていたらしいことが分かる。

「それから二十代のの時には、はじめて好きになった人も死んじゃって」
という台詞もあり、つまりは彼女は萩原のことが好きになっていたことを窺わせる。

 

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